テーマ本の紹介
『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』

すくらむ21短期インターンシップ生

書籍基本情報


タイトル:「ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社」
著者名:法政大学大学院政策創造研究科教授 坂本光司
出版社名/ 出版年:ダイヤモンド社/ 2010年

書籍内容の紹介と論評

私がこの書籍を手に取ったきっかけは、なんといってもこのタイトルに惹かれたからである。「世界一と書いてあるけれどいったいどのようなところが世界一なのだろう?」
そんな素朴な疑問を解決するため、この書籍を読み進めていくことにした。

本書は、著者である大学院教授の坂本光司さんが全国各地から世界に誇れる企業を厳選し、紹介したものである。ここで紹介される企業は和菓子店、介護用品メーカー、印刷会社、酒屋など業種はバラバラだが、一つだけ共通していることがある。
それは、「人の幸せに貢献する」ということを一番に考えて経営を行っているということだ。より多くの利益をあげることよりも、そこで働く社員や協力企業の人たち、そして商品やサービスを提供するお客様のことを最も大切にしている。

それぞれの企業については、著者自身が実際に自分の足で一つ一つの企業を回り、直に経営者や社長の方と会って対話したことをもとにまとめられており、事業を始めたきっかけやその会社に対する思い入れなどについて触れられている。

8つの企業とその経営者は、それぞれに素晴らしい信念と熱い思いを持っているが中でも私が印象に残ったのは、東京の吉祥寺に40年以上前からある「小ざさ」という和菓子屋だ。

この和菓子屋の注目すべきことは、何といっても40年以上もの間、一日たりとも早朝から並ぶお客様の列が途切れたことがないということ。そう聞くと大抵の人は「商品に何か特典をつけているのではないか?」「TVで紹介するなど広告や宣伝に力を入れているのでは?」などというふうに思うだろう。
しかし、驚くべきことにこの「小ざさ」という店は創業から現在に至るまでの間、マスコミ関係の一切の取材を断り続けてきたのだ。さらに店の敷地面積はわずか一坪、販売する商品は“ようかん”と“もなか”のたった2種類。これでは大量生産で名の知れたブランドの和菓子屋に敵うはずがないと思うかもしれない。

では「小ざさ」が40年もの間お客様の行列を途切らさず、年商3億円以上をあげている理由はどこにあるのだろうか。

それは紛れもなく、現在の女性社長である稲垣さんの何十年もにわたる和菓子修行から生み出された究極の味と、数十年かけて築き上げたお客様との信頼関係にあると言える。

資本主義経済を生きるわたしたちは「企業」というと利益追求が最優先事項、そのためにライバル社をいかに倒すか、そんなことばかりを考えていると想像してしまいがちであり、事実それを否定することはできない。しかし、どんな状況になっても生き残っていける企業は、この本で紹介されているような「人の幸せに貢献する」ということを一番に考えて経営を行っている企業ではないかと私は思う。

災難や事故が起きた時、お金は一瞬にして失われてしまうかもしれないが、人との繋がりや信頼関係はそう簡単には消えない。また、本書ではあまり触れられていなかったが、そこで働く社員を男女関係なく平等に扱うということも企業として非常に重要なことの一つであると私は思う。このような企業がより多くの人々に広まり、評価されることを願って本書を読むことを推奨したい。


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