テーマ本の紹介
『ジェンダー・トラック』

すくらむ21インターンシップ生

書籍情報

タイトル:「ジェンダー・トラック-青年期女性の進路形成と教育組織の社会学-」
中西祐子著
東洋館出版社発行、1998年2月28日出版

書籍内容の紹介と論評

みなさんは“学校”という場所が平等だ、と思ったことはありますか?
かつて学校は、人種や性別、エスニシティなどには関係なく、教育機会を均等に分け与える「偉大なる平等化装置」として置かれました。

―――…しかし、はたして本当に学校は平等な場所なのでしょうか?

本書では、学校に潜む“不平等”であったり“偏り”であったりと、さまざまな視点から、主に女子高校生・女子大学生に行ったアンケートなどの結果を元に、生徒・学生の進路を分化させる構造…“ジェンダー・トラック”について迫ります。

―――…そもそも、ジェンダー・トラックとは何か。

ジェンダーとは社会文化的な「性」であり、 “女性的な・女らしさ”などの性役割を意味します。ジェンダー・トラックとは、学力によって形成される「層(トラック)構造」・進路決定の構造が、このジェンダーと結びついているという概念のことです。本書は、この概念を中心に考察や実証が進みます。
読むうちに、大学生の私にとって決して他人事ではない問題点や、なるほど、と思わず声に出してしまう解説が多くありました。進路は自分で決めていたように考えてきましたが、見えないところで、私を含め、女性を待ちうける進路分化やカリキュラムが女性のトラック(層)を決める要因になっているのかもしれません。
たとえば、男子高校生よりも、女子高校生のほうが四年制大学への進学率は低く、持っている学力を考えれば可能な四年制大学への進学を放棄し、短期大学や専門大学などへの進学を選択してしまいます。
確かに自分の周りを振り返ってみても、専門学校や短期大学への進学を決めるのは女子高校生の方が多く、逆に、男子高校生は四年生の大学を目指す人、そして入学する人が多いように感じました。男子学生が四年制大学への進学を“学力”で選ぶのなら、女性もそうでなければ筋が通りません。
女性が短期大学や専門学校を選択するのには、学力の問題だけではない、なにか、他の理由があるのです。
「平等な場所」と言われた学校で、本人の気付かないうちに“女性像”が作られ、その女性像を元に制度やカリキュラムが組まれ…、トラック(層)が形成されてしまっている…。改めて考えると、たとえば「あれ?男女でどうして大学進学率はこんなに違うの?」などといった小さな疑問が、アンケート集計や統計の差異から考察し回答が導かれる様は、読んでいて、うならずにはいられません!

“教育の場”…そこに男女の平等は存在するのか…。読みだすと止まらない一冊です!


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