テーマ本の紹介
『ヒューマニティ―ズ 女性学/男性学』

すくらむ21インターンシップ生

書籍基本情報


「ヒューマニティ―ズ 女性学/男性学」
千田有紀 著
岩波書店 2009年

書籍の内容紹介と論評

この本では様々な学問分野における思想家や理論と関連付けながら、「性」「性別」とは何を意味するのか、「女性と男性の学」とは何を意味してきたのかについて考えています。
現在、当たり前のものと考えられている女性の権利や男女平等が、近代社会の発展に伴い、様々な活動や思想のもと勝ち取られていく過程を知ることで、決して女性の権利は棚ぼた的に与えられたものではないことが痛感できる一冊だと思います。

性別には男性、女性のほかにインターセックスというものがあるのをご存知でしょうか。
インターセックスとは男性とも女性とも判別しない状態で生まれた人たちのことで、2000人に1人の確率で生まれるそうです。
それでは女性学のもととなる女性解放運動がどのように生まれたのかについてはご存知でしょうか。
女性解放運動の始まりをどこにおくかは、諸説あります。どこにおいても間違いというわけではありませんが、本書ではそれをフランス革命のときに書かれたオランプ・ド・グージュの女権宣言を起点としています。女権宣言は男性の権利についてしか書かれていない人権宣言を、女性の権利も盛り込まれるように書き直したものです。ここから女性解放運動は出発し、グージュやルソーをはじめとした、たくさんの人々が女性の在り方について言及していくようになります。
私はこの本を読んで初めてインターセックスという言葉や女性解放運動について知りました。しかし私のような人は少なくないと思います。
私たちは女性学について学ぶ前にまず、その前提となる性別や女性学の成り立ちというものについて知っておく必要があるでしょう。
それでは女性学とはどういったものなのでしょうか。女性学は女性を対象とした学問ですが、女性学が女性を対象にするという場合、そこには既存の学問において、女性がまったく顧みられてこなかったことに対する批判がふくまれているのです。そしていままで研究の対象として見られていなかった女性の存在を対象にすることで、研究に値することではないと思われてきた「性」があらためて、研究の対象として浮上することになります。
女性学はただ単に女性について論じただけのものではないのです。

哲学的な表現や専門用語が多く、全体的に難しめですが、難しいと感じる部分は読み飛ばしても意味が通じるようになっています。本の最後にはたくさんの参考文献の紹介もあるので、それらと一緒にこの本を読むことで女性学・男性学についての知識を深め、これからの女性の在り方についてじっくり考えてみてはどうでしょうか。


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