テーマ本の紹介
『大学生、ボランティアの襷をつなぐ もうひとつの駅伝物語』


『大学生、ボランティアの襷をつなぐ もうひとつの駅伝物語』
編者:神奈川大学東日本大震災被災地支援室
発行所:御茶の水書房 2012年8月

「3.11」以後、学生は何を思い、大学はどう動いたか。
そのひとつの例を教えてくれたのが、この『大学生、ボランティアの襷をつなぐ もうひとつの駅伝物語』です。

本書は、東日本大震災をきっかけに神奈川大学で発足され、
現在も継続中である災害支援ボランティア活動について、
参加した学生、教職員などの立場からそれぞれの1年間を
振り返るという内容のものです。

この活動は「支援の『たすき』をつないでいきたい」、との思いから
「東北ボランティア駅伝」と名づけられ、これまでに学生、教職員を
合わせて1400人以上が参加する大きなプロジェクトとなりました。

とはいえ、ボランティア自体は非常に小さな活動の積み重ねで、
参加したからといってすぐに充実感が得られるとは限りません。
例えば津波で水浸しになってしまった本を乾かすという作業は
実に単調なもので、その作業にやりがいを見出せずはじめは困惑した、
という参加者の感想がありました。

しかし、その小さな積み重ねの先に復興があるという思いで
学生たちは「たすき」をつないでいきます。

大学側はこのプロジェクトを始動するにあたって
「被災者の皆さんの少しでもお役に立ちたい」という思いと
「学生の成長につながれば」という二つの思いがあったそうです。

そして、多くの学生は
「ボランティアをすることは『誰かのため』だけでなく
『自分のため』になると気付いた」
「今、自分に果たせる役割は何か常に考えるようになった」
などの感想を書いており、まさに彼らにとって大きな収穫の機会で
あったことがうかがえました。

今はインターネットが普及し、人と人とのコミュニケーションが容易な
世の中ですが、実際に足を運び、相手に直に接することでしか
得られないものがあるということに改めて気付かされました。

実際のボランティア中の写真がたくさん掲載してあり、
学生の生き生きとした姿が紙面を通して伝わってくる一冊です。
震災当時の記憶を忘れないためにも、そして「継続的な支援」の
大切さを知ることができるという意味でも、読んでよかったと思える本でした。

東日本大震災関連の図書としては、
被災された市民の視点から描かれた
『3.11キヲクのキロク』も紹介しております。
こちらもぜひあわせてご覧になってください。


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