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『女女格差』

書籍基本情報

タイトル:「女女格差」
橘木俊詔著
東洋経済新報社 2008年6月26日

書籍の内容紹介と論評

社会で活躍する女性が増えている今、結婚、出産、子育てに関する問題は女性の転機に関わる重要な問題であった。しかし、例えば女性が子育てしながら働くという選択肢を選ぶことにより、そこには一つの格差が生まれる。このように女性の多様な選択肢によって生まれた格差に注目したのがこの本である。
格差に注目するとき、それは世帯所得を比較することが多く、その世帯主はほとんどが男性であり、男性を比較することが主であった。そこから、本書は働く女性と専業主婦の女性間の格差など、女性の間にも様々な意識的、無意識的な選択の末、格差が生じているのではないかと考え、データでその比較を行っている。女性の格差について、階層、教育、結婚と離婚、子どもの有無、専業主婦と勤労女性、総合職と一般職、正規労働と非正規労働、美人と不美人まで、実に様々な視点から検証している。これらの格差を見る中で、共通していえることが、まず女性の格差には男性が多く関わってくるということだ。例えば専業主婦は、夫である男性がいなければ、自分の階層を明らかにすることができない。また、男女格差が原因で女女格差が生じたものもある。例えば、男性は理系を学ぶことが多く、女性は文系を学ぶことが多い。これは、男性は職業に直接結びつくもの、女性は就業するのにそれほど役に立たないものを学ぶことで、男性は働くことを前提とし総合職へ、女性は一般職へとの男女格差の慣習を生み出し、女性が総合職と一般職の選択をせざるを得ない状況へと発展していった。他には、女性自身の選択による格差、つまり女性特有のものもある。それは、教育の面で、名門大学を目指す女性が増え、それを成就させていることから生じており、女性の教育水準が三極化していることだ。それは、名門大学卒業後、比較的高い所得を稼ぐ女性と、短大や普通の四大卒の女性、高卒女性とにわけられる。このように女性の格差というのは、働き続けたい女性とそうでない女性との乖離が目立つ時代になったことを表しているといえる。
 私は、女女格差は、女性が社会進出し、意思決定をする過程へときている証拠だと考える。専業主婦が当たり前だった時代にはなかった、様々な選択ができるようになり、それは喜ばしい反面、格差の下部に位置する存在を作り出すというマイナス面ももちろん生み出している。もちろん男性間にも格差はあるが、違うことといえば、やはり結婚、出産、子育てで、自分の仕事の継続さえ考えざるを得ないのは、女性だということだ。女性は生きていく上で考えなければならないことが多い。これを、何で女性だけがとマイナスに考えるか、選択肢が多い分柔軟な人生が送れるとプラスに考えるか、考え方にも女女格差がありそうである。


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