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『父親再生』

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『父親再生』 信田さよ子著 (NTT出版,2010)
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002066

 以前母と娘について書かれた『母が重くてたまらない』を読み、納得した部分も多かったので、今回は、父と息子との関係について書かれている『父親再生』を読んでみました。

 この本で取り上げられている事例の多くは、団塊の世代の父親と息子についてのものです。

 高度経済成長時代に仕事のために家庭をかえりみる時間や機会を失い、育児を妻に任せてきた父親もいれば、息子との関わりを十分に持って寄り添い、対話を多く持ってきた父親もいます。時代の変化にもまれながら生きてきたさまざまな父親たちが登場します。

 さらに、著者の仕事であるカウンセリングの現場での経験が、実体験に裏打ちされた確かに現実として描かれています。だからこそ、内容にもインパクトが伴っていると感じられます。単に悩みや問題を指摘するだけでなく、息子とのコミュニケーションが困難な状況になったとき、その関係の改善や問題解決のきっかけについても語られています。

 父親が息子への態度や対応を仕事と同じように、客観的に扱えば扱うほど問題を抱えた息子の苦しみや妻の閉塞感への共感から遠ざかることになったり、無味乾燥な常識を押しつけることになったりするなど、読んでいてうなずける内容でもありました。

 子どもが引きこもったり、暴力を奮うなどの問題が発生した時、妻や息子が「期待する父親」とはどのような姿なのかをこの本は書き記しています。

 父親は、息子より、経済力があり、体力も上回っています。だからこそ、その権威や沽券をしがみつか、振りかざさずに、愛される父親、少なくとも拒絶されない父親が希望されているとの指摘もありました。

 現在は、家族のあり方が多様化し、「父親の役割とは何か」とは一概に言えない時代でもあるようにも思われますが、子どもとの信頼関係は、長い間に築き上げられると思います。

 関係性を大切し、父親とは母親とはこうあるべきであるというイメージではなく、各家庭の中での父親や母親の存在や役割について考え、見直し、お互いに話し合っていかなければいけないなと感じました。


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