テーマ本の紹介
『男女共同参画社会をつくる』

すくらむ21インターンシップ生

書籍基本情報

『NHKブックスNo.950男女共同参画社会をつくる』
大沢真理著
(2002年日本放送出版協会)

書籍の内容紹介と論評

「男女共同参画についてこれから知りたい!」という人はもちろん、社会福祉などに興味がある方も一見の価値アリです。 

 本書は社会政策の専門家である著者が男女共同参画を社会政策の制定という観点から論じています。この本の特長はこれまでの社会政策の変遷のわかりやすい解説があること、中立的な立場をとっているため「女性の格差解消」だけではなく、男性側の視点もしっかり述べられていることです。一般向けの本としては少し難しいかもしれませんが、、「男女共同参画」初心者の私にとっても勉強になった本でした。

 本書では「男女共同参画は日本活性化のカギ」として、社会政策の「男性稼ぎ主」型モデルから「両立支援」型モデルへの転換が提唱されています。つまり性別に関係なく、仕事と家庭・地域活動を両立できるような社会にすることが少子高齢化・デフレを解決し、将来への不安を解消するために大事である、ということです。この「男女関わりなくライフスタイルを設計することのできる社会」こそが「両立支援」型です。そして、これまでの社会は「男性稼ぎ主」型、つまりは「会社人間の夫」と「内助の妻(=専業主婦か、パートとの兼業主婦)」の家族が得をする社会だったのです。このままでは、性別による縛りのせいで個人の持つ個性や能力を発揮できなくなってしまいます。

 さて、日本活性化のために男女共同参画を行うにしても、どうすればいいのか。本書のキモはそこにあります。「男性稼ぎ主」型モデルから「両立支援」型モデルへの転換がその解答として挙げられるわけですが、最終章ではより具体的に2つの意見が述べられています。その一つは社会政策を中立的で持続可能なセーフティ・ネットにすることです。これに関しては7つの提言をしていますが、主に介護・育児の充実や、世帯主と配偶者の給付に差のない年金制度、保険証などの法律の制定が主な内容となります。そしてもう一つは個人の選択できる人生の幅、つまりは自由を念頭に置いた「機会の平等」を図ることです。

 この本が出版されて今年でちょうど10年目ですが、現状は果たしてどれだけ変わったのか、と考えずにはいられません。川崎市においても、高等学校の女性校長が比率でみると0.0%であったり、市役所でも課長級以上の役職を持つ女性職員の割合が4.3%から11.6%に過ぎなかったり*とまだまだ女性が職場で要職に就くことは難しい状況にあります。しかし、「男は仕事、女は家庭」という考え方は長い時間をかけて徐々に染み込んだものであり、なかなかその思考の楔は外せるものではありません。私たちが変わってゆこうとする努力を続けることも大切なことですし、それを助けるための社会政策は根気強く、20年先、30年先を見据えたものでなければならないと感じました。
*『2011年度版かわさきの男女共同参画データブック』(川崎市男女共同参画センター)より


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