女性起業家インタビュー(佐々木瑞紀さん)

French Tastes株式会社
代表取締役社長 佐々木瑞紀さん

<プロフィール>
東京都出身。10 年間の在仏生活より帰国後、フランスの食文化を日本に広げようと2008年French Tastes(株)を設立。フレンチレストラン「CEDO」を経営しながらのフランス教育を取り入れた教室運営が人気を呼ぶ。2014年より店名を「Clementine(クレモンティーヌ)」とする。本格的なフランス料理やお菓子作りを親子で学べる教室運営実績は8 年に及び、現在の生徒数は100 名以上。

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平成27年11月11日(水)に開催された「かわさき女性起業家フォーラム」のパネルディスカッション時に、川崎市内で活躍中の女性起業家として、French Tastes株式会社代表取締役社長の佐々木瑞紀さんに登壇いただき、創業の経緯や課題解決法など体験談をふまえて語っていただきました。

創業の経緯、事業内容

 会社を設立したのは2006年で、あっという間の9年間だったと思います。
 私は長い間フランスにずっと住んでいて、帰国した時に日本とフランスの違いに直面する場面が多くありました。そこで、在仏時代に「フランスの家庭料理」を通じてコミュニティや産地の食について学び働いていた経験を活かし、さらに子どもたちがもっと自立し、うまく自己表現ができるような「教育」分野の手助けを日本で始めたいという構想を膨らませていました。
 会社設立後は、まずレストランを経営し、厨房に立つこともしていましたが、主にマネジメントを中心に携わっていました。並行して、子ども向けの料理とお菓子教室を始めました。子どもたちの内に縮こもりがちな気持ちを表へどんどん出していけるよう伝えながら、同時に料理やお菓子作りの楽しみを学んでもらうというスタンスです。それが口コミで広がり、現在は100名以上の生徒数になりました。レストラン経営時は従業員も多く抱えていましたが、実質、教室の方が繁盛したこともあり、現在は教室の運営をメイン事業として展開しています。

活用した市の支援メニュー ~起業セミナー・無料相談~

 起業を考えた9年前は、漠然とした思いはあるけれども何から始めて良いかわからない状態でしたので、インターネットで検索しました。川崎市のHPを閲覧し、起業をキーワードに、川崎市男女共同参画センター(すくらむ21)で女性起業家セミナーの開催情報を得ました。そこへ行き、片っ端からセミナーを受けて経営のノウハウを勉強しました。講師から、まずは会社を設立して次のステップへ進むようアドバイスをいただいたのですが、設立方法がわからないので、その後、川崎市の法務局にある無料相談コーナーへ行き、会社を設立するために何が必要かということを全部聞きました。当時の私は0歳児の子がいたので、おんぶして毎週通いつめました。前の週にわからなかったことをもう一度聞くなど、一つ一つ丁寧に教えてもらい、形にしていきました。
 正直、お金を払えば女性起業家のセミナーはいくらでもあります。一から会社設立の定款を作るまで学べる専門学校などもあります。しかし、費用も抑えるところは抑えたいですよね。公的機関は、費用も無料または格安で、基礎という基礎を学ぶには適していますので、私は情報収集はインターネットで、且つ市民なので川崎市の支援を利用しました。

事業経営と家庭との両立、ワークライフバランス

 現在9歳の息子、6歳の娘がいますが、設立時は赤ちゃんを背負いながら動き回っていたのであの頃から苦労はしましたね。ただ、自分ひとりで全てを抱えてしまうと、起業はやめようかという選択になってしまうので、私は、家族や親戚などに事情を説明して預かってもらいながらセミナーや相談センターに行きました。当時は保育園の数も少なく、しかも会社員と比較して自営業は預かってくれるランクも低くなってしまうという状況でしたので、申請してもなかなか保育園に入園できず、特に託児には苦労しました。
 誰かに助けてもらわないと、せっかく始めた事業が「やはり女性では無理なんだ」ということになります。フランスでは公的機関やベビーシッターを使いながら産後3ヶ月で仕事を始めることも珍しくありませんし、そういった事情を知っていたこともあったので、私も「頼れるところは周囲に協力してもらおう」という気持ちでこれまでやってきたような気がしています。

継続のポイント、今後の展開

 失敗もたくさんあり、そのたびに落ち込むのですが、その時考えることはいつも「自分に何ができるのか、何が特徴なのか」ということです。一度気持ちが沈んだときに自分にしかできないことを引き出し、自分しか出来ない特徴、「色」を出すことがポイントだと思っています。私の場合はそれがフランスでの経験なので、その部分をうまく引き出して再びお客さんを呼び込もう、と危機を乗り越えてきました。また、お客様の対象がほぼ女性なので、女性に受けるものを常に考え、チラシデザインや内装に関しても女性や子ども受けするものを意識しています。
 今後の目標としてはパリのお惣菜弁当もやっているので、もっと販売数を増やし、さらに子ども向けの教室では、フランス教育を取り入れながらグローバル社会に飛び立つ子供たちに伝えられたらいいなと思っています。
 女性をターゲットにする仕事を考えている方へのアドバイスとしては、「細部にこだわる」「お客様にはきちんと丁寧な対応をする」「自分を見つめなおし、自分らしさを出す」ことですね。そうすればお客さんはついてきてくれると思います。また、状況はさまざまだとは思いますが、どんな形であれ働き続けていると、私のような年齢になったときに「やっていて良かった」とその経験が活きてきます。それから、事業として採算のとれる形で継続する女性起業家がどんどん増えることを期待しています。

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