H20年度 かわさきの職業人インタビュー

夫婦で作る 明るい農業 市民で作る 未来の農業

株式会社グリーンシステム
片平楽農倶楽部 代表:三浦武雄氏

仕事を始めたきっかけはなんですか?

息子を交通事故で亡くし、それがきっかけで若いころからの夢でもあったクラインガルテン(市民農家)をやろうと思いました。
また独立して造園会社を作ったときに、川崎市で農園を借りて、市民農園をつくる事になり、私が手がけたこともきっかけです。日本は行政主導の市民農園を行うのが特徴ですが、民間の市民農園はあまりありません。つまり、農家と市民は分裂しており、市民は家庭農園程度しかできません。

現在のお仕事で楽しかったエピソードを教えてください。

子供たちの感動を聞いたときですね。この農園で農業に触れたことのない子どもたちが、やったことのないことをやって、野菜が実って、それを生で食べたとき歓声をあげて喜んでくれたことが嬉しかったです。この感動はこれで終わりではなく、続いていくものだと思っています。

最近の辛かったエピソードを一つ教えてください。

ウコッケイをハクビシンに襲われないように2人(夫婦)で囲いを丈夫にしたり工夫してしっかり管理をしたのですが、50羽ほど死なせてしまったことがあります。
農家というのは、別名「百姓」です。百姓の意味というのは、「百=もろもろ、姓=職業」ということですから、何でもできなければいけない職業です。天候を予測するための気象学、農作業に使う機械の修理などもこなさなければなりません。だから私は、原始時代だろうがどんな時代に行っても妻を幸せにする自信はありますね。

今、この仕事の苦楽をお聞きしたのですが、このお仕事の全体の魅力はなんですか?

お客さんと共同で作業ができること、つまり参画ですね。農業というのは、昔は閉鎖的なものでしたが、今は開放的になってきています。最近うちでは、福祉園芸もやっているんですよ。車椅子の方にも農作業して頂けるように畑を高く作っているところもあります。

この農園を地域にとってどのようなものにしていきたいとお考えですか。

このあたりも高齢化が進んでいますから、道具の貸し借りをしたり、堆肥をトラックで運んであげたり、そういった地域性つまり「結」が都会の農業にもあるのですよ。だから、そんな助け合いの精神を持ちながら運営して盛り立てていきたいです。場所さえあれば誰でも作れる農園ではなくて、真心こもった運営をすることが大切だと思っています。手入れをくまなくする人、しない人がいますが、それぞれの人や状況に応じて手が行き届くような運営をしていきたいですね。

これからこの活動を次につなげるためには私たちのような世代がかかわっていくことがとても大切になると思うのですが、地域の若者に伝えたいことは何ですか?

親から受け継いだ土地がどれだけ大切かを考えて、それを上手に活用してほしいです。農業を受け継ぐことによって、癒しになり活力となります。昔、市民の農業は誰でもできるわけではなかったけれど今はできるし、都会でもできます。まず、訪れていただいて味わいを体験すれば興味が湧くと思います。

夫婦で同じ職業、同じ職場で働く利点はなんですか。

まばたきや、「あれ」などの代名詞などで言いたい事が伝わることです。体全体が手話みたいですね。あとは、サラリーマンの時と比べて妻との会話が増え、食生活が規則正しくなりました。しかし一方で、収入は減りましたね。

趣味はなんですか。

趣味は絵を描いたり詩を書いたりすることです。造園を作る際に、イメージを伝えるために絵を描いています。

最後に、これから仕事に就く若者へ、社会人の先輩の立場からアドバイスをお願いします。

自分を大切にすることも大事ですが、自分の体で、もちろん肉体的にだけでなく、どんなことにも体当たりしてほしいです。失敗の中から次の成功が生まれてきます。また、人は悩まなくてはだめです。悩んだ中にも楽しみがあります。

取材日:2008.8.27
取材者:伊澤久美、新島薫、末永矩大

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