H23年度 かわさきの職業人インタビュー

看護職にやりがいを、市民に生きがいを

社団法人 川崎市看護協会
常務理事 山下悦子様

看護職の方に対する支援について、具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

主に看護職の資質の向上や、看護師等が看護職として働き続けるための支援を行っています。実際に働いている人に対しては、スキルアップ研修やリーダーシップ研修などを行っています。また、再就業希望者を対象にした研修も行っています。看護師は二~三交代制で夜勤があることなどから、女性の多い職種として、仕事と育児を両立することはなかなか難しく、出産や子育てを機に職場を離れる方が多くいます。一度職場を離れた場合、復帰することに対しては医療の進歩などに不安が大きいといいます。そこで、復帰前に研修(たとえば、最新の薬や看護技術に関する情報提供など)を行うことでブランクのある人や、育休明けの人にスムーズに現場復帰できるよう後押しをしています。

看護職というと女性が多いイメージですが、男性の割合は増えてきていますか。

歴史的に看護職は女性の仕事でしたが、最近は男性も徐々に増えてきているように思います。川崎市看護協会に所属する男性の会員は、この3年で92名から133名に増えました。この数字はこちらに所属している会員の数なので、実際にはもっと沢山の男性の方が看護職として活躍しています。私はもっと増えてもいいかなとも思っております。管理職に就いている男性も、今は少ないですが今後は増えていくと思います。

次に、市民の方々に対する支援についてお聞きします。こちらでは市民相談を受けられているそうですが、具体的にどんな方から、どんな相談を受けることが多いですか。

川崎市看護協会は「市民とともに、より健康で安心できる生活の実現をめざし、ネットワークする看護活動を推進する」という活動指針を掲げています。市民の方からの相談で一番多いのは子育てに関する相談です。内容としては、母乳が足りているか、発育に問題はないか、風邪の症状があるが病院を受診したほうがいいか、といったものがあります。こちらには助産師も看護師も保健師もいるのでそのような相談にお答えすることができます。次いで多いのが、病気の症状や受診についてと、介護についての相談です。また、最近では不妊専門相談を市から委託されたので、専門医や不妊に関する認定看護師がその対応をしています。不妊に関する相談は、基本的にご夫婦そろって受けていただいています。

市民の方向けの講座で人気のものはありますか。

「プレパパ・プレママ教室」という両親学級を年に8回ほど開いています。これは、妊娠6~8ヶ月の初産の方を対象に、妊娠中から子育てが始まっていることをご両親で一緒に理解していただくための講座です。今、口コミでとても人気が出ていて、受付を開始して30分ほどで定員が埋まってしまうほどです。人気の理由は、働いている方でも参加しやすい土曜日に開催していること、そして沐浴の実習を父親に体験していただいていることの2点が挙げられると思います。講座後のアンケートでは、父親の方から「今まで子どもが生まれるという実感がなかったが、子育てが楽しみになった」というようなご意見をいただくことも多いです。

訪問看護サービスも提供されているとのことですが、訪問看護のニーズは高まっていますか。

訪問看護のニーズはとても高くなっていると思います。その背景には病院での入院期間が短く、在宅で医療処置が必要な人が多くなってきていること、福祉施設への入所がなかなかできないことなどがあると思います。そんな中、担い手が少ないという現状もあります。そこで、川崎市看護協会では訪問看護師の養成講習会を行っています。この講習会は公開しているので、看護職の方ならどなたでも参加できます。

川崎市看護協会の特色を教えて下さい。

私たちの協会は、社団法人であるというところに特徴があります。医師会、歯科医師会、薬剤師会などと同じように法人格を持っていて、いろいろな組織と連携して事業を行うことができます。また、川崎市から事業を委託される場合もあります。今後は公益社団法人にしていく予定ですので、そのときは今まで以上に市民の皆さんの役に立つことに重きを置いた団体を目指していきます。

山下さんは今どんなお仕事をされていますか。

私は今、川崎市看護協会の常務理事をしており、主に総務の仕事に携わっています。看護協会の総会、理事会の開催の準備をしたり、教育委員会、業務委員会など各部門に分かれている委員会をまとめたりしていく立場です。

このお仕事をされる中で、どのようなことにやりがいを感じていますか。

私は以前、看護部長をしていたので病院の事情は理解しているつもりです。そこで頑張っている看護師たちにやりがいや生きがいを感じてもらえるように、スキルアップや離職防止のための研修会などを通し、組織として支援するということにやりがいを感じています。同時に、生きがいを持って働けるような環境整備を行政に提言すること、次世代育成のための活動などができるのも魅力の一つです。

反対に、ご苦労をされた経験はありますか。

ここでは事務と専門職の二刀流が必要です。この仕事に慣れるまでは、失敗も沢山しました。今まで文書作成や事務作業をあまりしてこなかったのでそれらについては今でも少し苦手です。

今後、どんなお仕事に力を注いでいきたいですか。

看護職員の確保・充足、在宅看護の推進などは、組織として看護施策を市・県・国へ要望・提言することが求められています。また、子育て支援にも力を注いでいきたいです。川崎市は全国の中でも人口が増え続けている地域なので、支援の必要があると思います。具体的には、子育て支援を子どもに対する虐待の防止にもつなげていきたいです。特に、プレパパ・プレママ教室に参加された方々の中からは子どもを虐待するような親を絶対に出さないようにしたいと思っています。微力ながらもこの活動はずっと続けていきたいですね。やはり、次世代を担う子どもには大人からの愛情をいっぱい受けて健やかに育ってほしいです。

最後に、これから社会に出る若者にメッセージをお願いします。

自分に合った職業を…と言っている間にすぐ30歳になります。私は、どんな仕事でも一人前になるまでには10年くらいかかるのではないかと思います。最近は職場を次々と変える人も多いですが、ぜひ3年なり5年なりそのお仕事を続けてみて欲しいと思います。どんな仕事もそれぞれ必ず社会に貢献しているわけですから、もしそこに自分の生きがいを少しでも見つけることができるなら、ぜひそこでじっくり頑張るということに挑戦してほしいです。

取材場所:川崎市看護協会
取材者:高山純子,佐藤紗妃,中川知昭
取材日:2011年8月29日13時30分~14時30分

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