かわさきの職業人インタビュー(コウトさん)

個(こ)「声(せい)」で伝えたいこと

フリーランス
声優
コウトさん

コウトさんは現在フリーランスの声優として活躍している。声優というお仕事はテレビ、ラジオ、ゲーム、アニメ、映画の吹き替えだけではない。日常生活の様々な場面で声のお仕事は存在する。例えばスーパーで流れる音声、商店街のアナウンスやバスのアナウンスもその一つ。「声のお仕事は無限大にあると考えているため、声優として幅広く活躍したい」とお話をしてくれた。

コンプレックスを強みに

小さな頃から声が高く、声変わりをしてもほとんど声が変わらなかったことで中学生の頃からからかわれ、いじめのようなものを受けたこともあった。自分の声が嫌いで、普通の人と違うのではないかと悩んでいたという。自信をなくし、親がいなければ何も出来ないくらい、自分はとても弱かったと学生時代を振り返る。そんな中、たまたまアニメを観たことで男性でも声が高い人がいること、声優という職業があるということを知った。特徴ある声だと周りから言われていたこともあり、自分の高い声を生かして仕事が出来たらと考え、声優を志すようになった。

自分にしか伝えられない物語

声優という職業上、声でしか伝えられない難しさがある。表情が見えないため、自分の意図していない感情が伝わってしまうことも。その分、伝えたいことが伝わったときの楽しさや達成感はとても大きい。
自分がアニメで助けられたように、今度は自分が誰かを助けるきっかけになれたら嬉しいという思いから、最近は子どもたちへの読み聞かせも行う。自分の声を通じて、物語の楽しさや感動を感じてもらうことで、物語の背景などに興味を持ち、いろいろと考えてほしいのだ。今後も地域でのイベントや子どもたちの関わりを続けていきたいという。

病を乗り越えて

現在はフリーランスで活動しているコウトさん。以前は、専門学校時代のご縁から事務所に所属し声優をしていた。フリーランスになったきっかけは、大きな病気を患い事務所をやめざるを得ない状況に追い込まれたことだった。声優というお仕事はフリーランスの場合、多くの人が声優だけでは生計を立てるのが難しいという現状だ。コウトさん自身も病気がなければそのまま事務所に所属して活動したかったと仰っていた。しかし、コウトさんは病気も人生のターニングポイントとして前向きに捉えフリーランスで働く覚悟を決めた。
フリーランスで働くということは、営業、仕事の調整、自己管理を含め、全て自分で仕事をマネジメントしなければならない。そのため、人とのつながりから紹介で仕事に繋がることも多くあり、コミュニケーションを大切にしている。
フリーランスになった当時は「仕事はあるの?」と周りから心配され、自分自身もフリーランスでやっていけるのか不安が大きかった。実際にフリーランスでお仕事をしてみると事務所に所属していたときよりもトラブルは発生しやすい。しかし、作品が完成し仕事関係者みんなが笑顔になった時の達成感は以前よりも大きいという。

今を大切に生きてほしい

コウトさんは若い人と話すとき「やりたいことや好きなこと、趣味はある?」と問いかけても返答がないことが多いという。それがすごく寂しいと感じている。ただテレビやインターネット動画をぼんやり観て、面白いと笑うことだけで時間を過ごしてしまうのはもったいない。
私たちに向けて「今をすごく大切に生きてほしい」というアドバイスをくれた。「何気ない毎日、一瞬一瞬がその場でしか得られない大切な経験であることを忘れずに過ごしてほしい。学生時代に勉強だけでなく、仲間と遊ぶ時間、時には何もしない時間を大切にすることも必要だ。日々の生活から意識的に刺激を求め何事にも挑戦し、経験を増やすことで成長してほしい。」と熱く語って下さった。
特に声優を目指す人に向けては、若い時の経験が表現力に繋がるので是非若いうちに色々な映画や本、アニメに触れてほしい。そして自分の興味がないものにも積極的に経験して欲しいという。歌舞伎を見たり、洋楽を聞いてみたりと自分の経験にないことを広げていくことで将来声優になるうえで役に立つと仰っていた。

編集後記

コンプレックスを強みに変え声優というお仕事を選択したコウトさん。病という大きな困難を経験しながらも人生のターニングポイントと捉える前向きな姿勢に感銘を受けました。
やりたいと思ったことには何事にも挑戦し失敗しても経験と捉え前向きに行動していくことの大切さを学びました。
                

<取材日 平成27年8月30日  取材者 丸衣季 古瀬由佳 永井美穂>

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