複合的なケアとくらし

ダブルケアを知っていますか。

2016年4月 政府調査では、身体的ケアを主とした育児と介護のダブルケア人口は25万人。
今後は、晩婚化、少子化、高齢化から、現存の介護サービス、育児サービスをやりくりしながら、
子育てと親の介護を同時にしなければならない世帯(ダブルケア世帯)が増えると予想されます。
ダブルケアとは、狭義には、育児と親族などの介護を同時に担う状態のことです。

一つ一つも大変なのに、同時に複数の責任や負担がかかることで、求められることをこなせないといった苦痛や葛藤を感じているケースが少なくありません。
問題が複合的になってきたときの相談相手がいないこともよくあります。育児や介護に限らず、多様なケアの重なりは、広義では全て、ダブルケアと言えます。
ダブルケアという言葉がなかった時代も、親族や家族の中には、複合的なケアは存在していました。夫が外で働き、妻が育児や介護を担い家庭を守ることが当然視されていた時代がありました。

しかし、今は、共働きでないと家族が養えない家計状況で働く人が増え、その一方で少子化、晩産化、高齢化により親族・地域関係の変化が起きています。
私たちは、重なり合うケアの大変さや困りごとを地域のたくさんの人に知ってもらい、ダブルケアという課題群があることを社会に広めることで人間らしい働き方・生き方が可能な社会をつくり未来世代につなげていく必要があると考えています。

ダブルケアについて考える場

川崎市男女共同参画センターでは、これまでに次のような講座を開催しています。
①女性が語るトークサロン「ダブルケアを知っていますか」
2018(平成30)年6月17日(日)に山澤和子さん(日本女子大学客員准教授、トークサロン実行委員)と栗橋登志さん(認定NPO法人 乳房健康研究会、ピンクリボンアドバイザー上級)による体験談を交えたサロン形式の講座を開催。
②育休子連れカフェの特別編「ダブルケア-育児と介護の同時進行」講座
12月13日(木)には「ダブルケア」をテーマとしたを講座を開催。
最新のダブルケア負担の実態調査・分析から見えてきたことを研究の第一人者である相馬直子さん(横浜国立大学大学院 教授)と東 恵子さん(一般社団法人ダブルケアサポート 代表理事)をお招きし、全国各地で取り組まれているダブルケアサポートの支援の様子や課題について知り、参加者同士で簡単なワークを通じて自分の未来予想も交え幅広く具体的に語っていただきました。
③自助・自主的な市民活動活動グループの誕生
12月の講座に参加したメンバーを中心に、ケアを取り巻く現状を社会やまちに発信し続けたい、またダブルケア当事者の声を発信することが必要という思いから『ダブルケアかわさき』というグループが立ち上がりました。2019年度より川崎市男女共同参画センター協働事業として『ダブルケアかわさき』による「身近なケアを考える ダブルケアプチ勉強会」を開催しています。活動紹介パンフレットはこちらよりダブルケアかわさきのサイトはこちらより

ダブルケアとワーク・ライフ・バランス

ダブルケア当事者にとってのワーク・ライフ・バランスとは何か。
ダブルケアを「磁石」にその人が抱える複数の課題を、全人的に捉え、性別にかかわりなく、男女双方が人間らしい働き方、暮らしができるように、ダブルケアをしながら働くことが当たり前の社会、ダブルケアを前提とした社会設計、働き方改革が求められていると感じます。引き続きこのテーマについて情報を収集・発信していきます。
◆参考までに内閣府男女共同参画局ワーク・ライフ・バランス憲章はこちら