テーマ本の紹介
『君死にたもうことなかれ~与謝野晶子の真実の母性』

与謝野.JPG
『君死にたもうことなかれ~与謝野晶子の真実の母性』(茨木のりこ著 2007年 童話社)

明治の時代、11人のこどもを育てつつ歌人として生きぬいた
与謝野晶子の生涯がかかれています。

女として、母として、歌人として生きる!
今の時代でも難しいことを
この時代にやり遂げたことに
「あっぱれ!」というほかありません。

晶子のやること全てが、女性として
すがすがしく感じました。

晶子が鉄幹と結婚した後、
晶子の名声とは裏腹に、夫鉄幹のほうはかげも
うすくなって次第に人々から忘れさられていき、
ほかの女性と関係をもつこともありました。

そこで、晶子のだしたアイディアが
「欧州遊学」です。
この時代に、稼ぎのない夫に文学への自信を
とりもどさせようと送り出す晶子。
その資金さえも、子育てをしながら晶子が準備します。
そしてさらに、自分も夫を追って欧州へと旅立っていきます。
日本に7人の子どもたちをおいての旅立ちです。

晶子は常に母であり、女であり、人でありたかった
のです。

母性は国家で保護されるべきと唱える平塚らいてうなどと母性保護論争を
おこした晶子は「婦人は男子にも国家にも寄りかかるべきではない」
と唱え、彼女の人生はまさにそれを実践したものでありました。

彼女は国家に母性ばかりを要求されることを
とてもおそれていたようです。

子どもと向き合っているときは、真剣に母であろうとし
夫と向き合っているときは、妻であろうとし
芸術と向き合っているときは、人であろうとする。
どれか、ひとつということはありえないと
彼女は言っています。

わたしなどは、いまこの時代においても
時代とか社会とか家庭とか、色々な背景を
自分の出来ないことの理由にして生きているのが現状です。

彼女のように生きていくことは、やさしいことではありませんが、
明治の時代に、これだけ色々なことができた晶子を見習いつつ、
颯爽とこれからの人生を生きていけたら!
そんなことを思わせてくれる一冊でした。


Comments are closed.