テーマ本の紹介
『変わる家族と介護』

私自身はいま実家を離れて生活しているのですが、幸い両親ともに元気に過ごしています。
そのためか、メディアでしばしば「高齢化社会の到来」や「介護問題の大変さ」を
見聞きはするものの、リアリティをもって感じることができずにいました。

ですが、あと数年で両親も70歳台。遠くない将来、私の家族はどうなっているのか…。
本書を読みながら、自分の家族の未来を想像せずにはいられませんでした。

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『変わる家族と介護』(春日キスヨ著,講談社現代新書,2010)

著者の春日キスヨさんは、介護をはじめとする家族の問題に、家庭や施設など現場へ
数多く足を運びながら取り組まれてきた方です。
もちろん、介護ひとつをとってみても、そこには母親/父親、娘/息子、その配偶者など、
ジェンダーの問題が多分にからまっていますが、著者はその点にも十分に配慮しています。

本書に特徴的なのは、まず、〈シングルの子とその親〉〈高齢者夫婦のみの世帯〉など、
これまでとは異なる今日的な家族における介護の実態が描かれていることです。
また、それゆえに新たな問題も噴出してきていることも指摘されています。

例えば、母親の介護のために仕事を辞めたシングルの娘が、親の年金に頼って生活を
せざるをえないケースで、母親が亡くなったときにどうなるのか…。
今日、介護の問題はそれ自体のみならず、経済状況、就業、心理的な負担などの
問題と重なるなど、変化してきたと著者は述べています。
そして、それらはジェンダーの問題とも切り離せないことがらです。

これまで、親が介護が必要になったときのことを漠然と想像することはあっても、
実際にどんな状況になり、どんな問題が起こりうるかまでは想像が及んでいませんでした。

いま変わりつつある家族と介護を知るための最初の一冊として、いかがでしょうか。


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