テーマ本の紹介
『子育てと出会うとき』

すくらむ21インターンシップ生

書籍基本情報


『子育てと出会うとき』
著者:大日向雅美
発行所:日本放送出版協会
発行年:1999年

書籍の内容紹介と論評

 この本は、育児は女性の責務だとされてきたが、果たして今の時代にも通用する正しい考え方なのか見つめ直すことで、母親が子育てに対する孤独感や苦悩から解放されることを願って書かれたものです。

はじめにいまどきの母親事情の実例を本書ではあげられていますが、どの母親の発言や行動もどれも嘘のような実例がほとんどでした。そのような発言や行動の背景を、母性幻想という観点から探っています。
やがて母性神話にまで発展した母性幻想に、振り回されない新しい子育て支援の時代、また数は未だ少ないのですが男性の育児参加など、性を超えた子育ての時代を今迎えようとしている動きを伝えています。

それらの実例を読んでいると、子育てをしている母親の発言とはとても思えないようなひどい発言だ、と思わずにはいられません。しかしその感情こそ、いまどきの母親を苦しめている母性観という先入観なのだということを、本を読みすすめていくにつれ、実感しました。

本書を読むまでは“子育て=母親”という考え方に対して何の疑問を持たず、当たり前だと思っていました。子育てに悩み苦しむ母親たちも例外ではありません。古くから心の奥底まで浸透している考えに対して、それを否定することや、疑問を持つことさえ難しいことなのです。ましてや、自分がその渦中にいるとしたら尚更でしょう。悩み苦しむ姿を他人に見せない傾向も、最近の母親には良く見られるそうです。外ではとても楽しく子育てをしているように見える母親たちも、心の中ではもしかしたら苦悩しているのかもしれません。少なからず、その想いに共感する部分があるのではないでしょうか。いまどきの母親の気持ちを代表しているので、いまどきの母親の言動が理解し難いと感じている人にも是非、手にとって読んでもらいたいです。

そして私が一番興味深いと関心を持ったのは、夫婦の関係性が子育てと大きく関わっていることです。子供を産んだ途端、自分は社会から疎外され、社会で働く夫との心の距離をいやでも感じてしまい、母親の孤独感というものが増大していってしまいます。そうならないためにも、夫との時間をほんの少しでも作るというとても手軽で簡単にできることが、妻にとって、また母親としてでも心にゆとりを持つことができると筆者は述べています。母親がどんなに必死になってひとり頑張って子育てをしていても(もちろんやむを得ない場合もありますが)、夫の協力や周りの人と助け合って子育てをしていくことが、子育てのあるべき姿なのだということを、この本を読んで強く感じることができました。


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