テーマ本の紹介
『父として考える』

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『父として考える』 (東 浩紀(著)、宮台 真司(著) 生活人新書)

娘ができて初めて見えた日本社会の問題点とは?

本書は「父」としての立場から初めて見えた日本社会の問題点を基に、
社会学者の宮台 真司(みやだい しんじ)さんと批評家の東 浩紀(あずま ひろき)さんの
あいだで行われた意見交換が収録されています。

「あ~、またあの手の本ね」と思った、ブックレビュー愛読者の皆さん。
ちょっとお待ちください。

日本にはたくさんの評論家が「世の中あ~だこ~だ」、「日本のここが悪い」、
というような類の本が出回っておりますが、この一冊はちょっと違うんです。

著者二人が父になったことをきっかけに、
普段何気なく過ごしていた環境やいつもの仕事に対する考え方が
大分変わったという話が対談形式で展開されています。

たとえば住む町ひとつにしても・・・

著者が独身時代「下北沢は良い町だ」と思っていたのに、
父親目線では幼児連れで入れる店が少なく、駅もバリアフリーではありません。
それに比べ、著者が高校時代に住んでいて、何の面白みも感じなかった青葉台は、
バリアフリー化が進み、高級食材・カフェが充実しており、
子育て世代に人気エリアだといいます。

環境が変われば新たな視点を獲得できるということを改めて感じました。
今すぐ父親になることは現実的ではありませんが、
複眼的な視点で物事を捉える努力をしていきたいと思います。

よく「人の立場になって考えよう」という言葉を耳にしますが、
実体験を基に展開されているこの本を読むと「人の立場になって考える」ということが、
いかに重要なのかをあらためて実感できました。

著者2人の生育環境、学校教育経験などに詳しく触れたうえで
自らの子どもへのスタンス、家族内のコミュニケーションの様子を語っています。
そのため、読者としては自分自身の環境・経験と著者のそれとの違いを意識しながら、
彼らの議論を読み進めることができると思います。

対談形式で構成されていたのでとても読みやすく、
まるで目の前で二人の話を実際に聞いているかのような感覚になり、
楽しく読み進めることができました。
この2人の対談に、あたかも自分も仲間入りしているかのような錯覚さえ覚えます。

子どもを持った父親(母親)が自らを振り返る、
そしてこれから父親(母親)になろうとする人が心構えとして読むにはピッタリな一冊です。
まさに「イクダン指南書」といっても過言ではないでしょう。


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