テーマ本の紹介
『特別授業3.11 「君たちはどう生きるか」』

すくらむ21インターンシップ生

書籍基本情報

特別授業3.11 「君たちはどう生きるか」
(河出書房新社 2012)

書籍の内容紹介と論評

本書は今回の大震災に関わらず、生きていく上で必要な知識を深め、人間性を高めてくれる本である。全9教科ごとにテーマが設定され、教授・作家・学者・医者・NGO関係者など様々に活躍する9人の著者が語る特別授業で構成された本書は、大震災以降の日本が抱える問題や、今我々が何を知り、行動しなければならないのかを教えてくれる。人とのつながりや心のケアなど精神面に関する話や、日本という場所の持っている特性、歩んできた歴史など、大震災の後に生きる私たちが学ばなくてはならないことが詰め込まれた1冊である。
本書を読んで、私が最も印象に残った点は精神科医として活動する斉藤環さんによる「保健の授業」の部分である。
“今一番被災地を苦しめているのは「喪失感」である”
この言葉にハッとさせられた。「自分は生き残ったが家族が死んだ」「先祖代々の墓が流された」「今までの風景が無くなった」など失ったものは様々あり、失ったものへの寂寥感や自分を責める気持ちが被災者の心を蝕んでいる。被災した方のなかにも、命が助かった=良かったとは簡単に言えない「喪失感」があるのだということが分かった。今、日本では「がんばろう日本」というスローガンをよく耳にする。斉藤環さんは本書で、「喪失感」に打ちひしがれた人には「がんばろう」がストレスになることもあるという事実を忘れないでほしいと語っている。私たち1人1人が出来ることはわずかである。しかし、このような被災地の実態を理解すること、小さなことでもともに支えて“つながり”を被災者の方々に感じてもらうことが重要なのだと改めて感じることができた。
3.11――東日本大震災は私たちに大きな傷跡を与えた。約1年半を経た今でも復興の道は遠く、まだまだ多くの支援が必要である。本書は改めて私たちが今の日本を見つめ直すために何が必要か、何が大切か、何を学ぶべきか、それらを考えるきっかけを与えてくれるだろう。日本の現状を広い世代に渡って知ってもらうために多くの方に読んでいただきたい1冊である。


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