H25年度 かわさきの職業人インタビュー(合田さん)

枠はない。やってみろ!

学校法人河合塾
合田哲也さん


 合田さんは、大学を卒業後大学院の道も考えたが、研究よりも教えることを選び、塾講師としてのキャリアをスタートさせた。現在は、生徒と講師はもちろん、講師間でも一緒に頑張っていこうという河合塾の雰囲気に共感し、物理講師を勤める。
結婚ののち二人の子どもに恵まれ、3歳と1歳の子どもを持つ父親でもある。高校時代からの趣味であるバンド活動を今も続けている。

プロへの憧れ

合田さんは小学校2年生の担任に憧れ、「教師」を将来の夢にした。
中学・高校時代には授業を受けながら、ここはどのような教え方ならばわかりやすいのかを考えていた。実際に、思い付いた工夫を凝らして友人に勉強を教えてみると好評で、教えることが向いていると自覚した。
大学時代には教職課程をとったが、最終的に予備校の講師の道を選んだのは、元々職人や調理人など、一つの道を究めることに憧れがあったことや、受験という明確な目的を持つ生徒とゴールに向けて共に頑張るほうが性に合っていると考えたからだそうだ。

考えて考えて考えて生きよ

20代は様々な経験をつみ、力をつけることが大事だという。その時期につらい思いをするかもしれないが、そのたびにどのような決断を下すか考え抜くことで、自分の根幹が育ち、自分のスタイルが確立し、30代で力を発揮できるようになると語る。
合田さん自身、20代が今までで一番大変だった。生徒に合った授業の進め方や、自分のスタイルを確立させる為にとにかく生徒のわからないところを把握し、それをわかりやすく伝えられる教材や教え方を熱心に考えた。その努力を惜しまなかったのは、全力で取り組む生徒が目の前に居たから。その気持ちに応えるためにも、自身も全力で考え、貪欲に挑戦しつづけた。このような経験から、社会に出て行こうとする人へのメッセージは、「考えて考えて考えて生きよ」である。予備校講師として生徒に寄り添った授業を展開しようとするにも、その一つひとつを楽しむことに貪欲だ。それはお子さんに対しても同じだ。一つひとつを存分に楽しむためには、考え抜く必要があり、それは積み重ねが大事だ。「もっとなんか良い工夫ないかな、もっと何か方法ないかな。思いつくことだから、なかなかいっぺんには気付かない。ときどき「あっ」て気付くことを繰り返しながら、より良くし続けることを考える」と、合田さんは語る。

目線を合わせる

合田さんは10年以上のキャリアを経た今なお、日々工夫を続けている。予備校で使う手書きのテキストはその軌跡だ(写真)。「パソコンで打ったものも作ってもらったが、手書きの方が気持ちが伝わると好評だった」という。また、授業後に感想を書いてもらうオリジナルの「コミュニケーションカード」も手書きだ。合田さんは次の授業で生徒に返し、生徒とのコミュニケーションを密にしている。その背景には少しでも生徒の目線に立ち、寄り添った授業を行いたいという思いがある。先生は当たり前に分かっていても、生徒は「何が分かってないのか」さえ分からないことが多い。物理の場合は特にその差が大きい。合田さんは生徒が何を分かってないのかを貪欲に学び、一生懸命生徒のレベルになって、伝えようとしている。しかし、そうして「いい授業ができた」と思うこともある一方で、「まだまだだ」と思うことも多いという。「永久に悩み続けるだろうし、そうでなくてはならない」と強く語る。

とりあえずやってみようよ

そのように工夫を重ね続けてきた合田さんは、人生において「枠を作らない」ことを意識している。
周囲の意見で自分が本当に行きたい志望校を諦めようとする生徒もいるが、合田さんは自分で枠を作らず、チャレンジする気持ちを大切にして欲しいと思っている。
受験生には「モチベーションが持てれば、動機は不純なものでもいい」とメッセージを送る。合田さんも大学を選んだ理由は、バンドサークルが盛んだったからだという。
「(志望校を)決めてそこに行きたいんだったら、まずはそこに向かって全力で行こうよ。結果はそのあとでしょ?」
一見突き放したように聞こえるが、前向きにいたほうがいろんな能力が良い方向に育つ、経験する前からやらないと判断するのはもったいない、という考えがある。

編集後記

インタビューを通して、合田さんは考え続けることを愛しているように感じた。飄々とした見た目とは裏腹に、愛するものに突き進む熱い思いを持つプロだった。
お子さんが生まれる前から溺愛する!と決めていたため、子どもを授かったことで自分よりも大切なものができたと熱く語っていた。そんな風に歓迎して迎えられた子も親も幸せだと思う。その為にも場の準備や、どういう心構えをするべきかを考えることが幸せに繋がると思った。
お話を聞いて一貫していたことは、たくさん苦労して自分のスタイルを作ることが大切だということだった。意識していきたいと思う。

(インタビュー:植木愛、澤田知香、鈴木春香、田中雄大、山田永)

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