かわさきの職業人インタビュー(新井加代子さん)

自分自身が商品の自覚


日本映画大学
キャリアサポート部
新井加代子さん

日本で唯一の映画単科大学である日本映画大学。そのキャリアサポート部で長年学生のサポートを行ってきた新井加代子さんに、学生の卒業後の進路や、映像業界で働くということについてお話を伺った。

一般企業から映像業界へ

新井さんは以前、一般企業で働いていた。映画を見ることが好きで転職を考えていた新井さんは、今から40年ほど前に映画監督である今村昌平氏が設立した横浜放送映画専門学院(現:日本映画大学)の職員として働き始めた。そこでは、俳優や映画監督などを目指している学生達と出会い、また学生を支援する一環で様々な現場に行き、監督やスタッフから、作品にまつわるエピソードなどを聞くことができたという。

学生たちが過ごしやすい環境

新井さんは、企業とのやり取りや求人情報を掲示板などでアナウンスをしたり、学生たちに対して就職などのアドバイスを主に行っている。2年後期から各コースに分かれる際には進路や経済的支援の相談も受けているという。普段からなるべく学生と接し、いつでも相談に乗るようにしていると話されていた。また、在校生に限らず卒業した後でも、「現場でこのような人材を求めているのだが」と相談された際には、それに合った卒業生に声をかけ力になれるようにしているという。

映像業界ではフリーランスで働く人も多く、自分自身が商品

映像業界においては、監督に指摘されてただそれに従い業務を遂行するのではなく、その中で私だったらこうするなど自分の意見をしっかり持ち、それを提案することが重要であるという。また、映像業界では作品ごとに適したスタッフを集めている場合も多く、人間関係をつなぎながらキャリアアップしていく。その際、何もなければそこで終わりだが、いいものがあれば次も呼ばれ制作会社や番組と契約する。例えば情報番組などは外注された制作会社が製作し、約30社ほどの様々な企業からスタッフが派遣されるなどしている。そのため映像業界では、フリーランスで働く人は特にスキルと共に自分自身を売り込んでいく為の自負が必要であるとおっしゃっていた。

女性の見方に対する周りの変化

かつては、男性は女性より体力があるため契約が続きさえすれば長年働いていられると思われていた。そのため一昔前に映像業界にいた女性は、男性以上のものを求められていた。しかし企業自体が積極的に女性採用を行い、そのなかでも女性は自分を売り出そうとアピールをすることで、女性に対する周りの見方が変わり、「女性だから」という男女の差異は少なくなり、少しずつ変わっていったという。例えば近年、撮影機材や照明機材などは軽量化や小型化しているため、体力的ハンデは減った。やる気さえあれば誰もが様々な分野で活躍できる環境となってきた。しかし、子育てのために辞めていく人も少なくない。また活躍している人は子育てなどをしている時間が取れないため、独身の人が多いのが現状である。という。

現場で働く人への思い

一般的に、一つの作品を作ることと子どもの成長は似ていると言われている。育児と仕事の両立が難しく現場を離れる人も少なくないが、時間や環境が他の仕事と異なる業界にある程度の覚悟と決心をして入ってきたのだから、「出産や育児が落ち着いたらで良いから現場には戻ってきてほしい」とおっしゃっていた。そのためにも、「まずは出産や育児に関して、同じ職場で働いている方や両親、そしてパートナーの理解が大切である」という。

編集後記

取材前、映像業界は、男性が主体の業界であると思っていた。しかし今回の取材を通して、女性も映像業界で活躍できる環境が整ってきている事が分かったと同時に、更なる向上のためには、課題がまだ残っていることを知ることができた。日々、キャリアサポートセンターを通して、学生と交流し相談に乗っている新井さんの貴重なお話を聞き、新井さんは学生を希望の進路に送り出すための太いパイプのような方であると感じた。

取材日 平成27年8月25日
取材者 寺田裕也 宮崎美穂 森亜美

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