かわさきの職業人インタビュー(松田志暢さん)

地域の活性化を、不動産会社から


株式会社エヌアセット
ワクワク広報室 松田志暢さん

 松田さんは、不動産会社「株式会社エヌアセット」で2014年よりワクワク広報室を担当している。「ワクワク広報室」とは、地域密着で溝ノ口の魅力づくりをサポートし、その魅力を入居者や地域住民へ伝える事業である。これまでに、会社HPを通して溝ノ口の魅力を発信したり、地域住民と連携して「○○×ノクチ」という企画などを行ってきた。

まちづくりに懸ける想い

 松田さんがまちづくりを始めたきっかけは、大学受験での挫折だった。希望していた大学のスポーツ科学学科に落ち、第二志望の大学の地域政策学部に入学。そこでまちづくりについて学び始めたものの、常に悩みを抱えていたという。「ただ楽に単位を取って、ただサークルが楽しいだけの生活に物足りなさを感じてしまって……。大学は1年で辞めようと思ったんですよ」と松田さんは語る。悩みを乗り越えるため、人生ではじめて親や同級生、先輩、色々な大人と本音の話し合いを繰り返したという。この時、自分の未来に真剣に向き合ったことで、松田さんは一つの答えにたどり着いた。それは、自分自身の環境に対して本気で向き合うということである。「ここの大学で、今出来ることをやり切ってからもう一度考えようと思った。それが僕の転機でした。」それから、松田さんは学生が運営するNPO法人に所属し、ラジオや学生屋台、大規模なファッションショー運営など、多くの地域活性化イベントに打ち込むようになった。

不動産会社の可能性

 まちづくりのイベントを行うなかで、松田さんは「不動産屋が地域を支えることが出来るのではないだろうか?」ということに気付いた。それは、不動産屋の立場から地域の人々の魅力を発信するということである。
 例えば、学生やNPO団体が活動するうえでは、拠点が必要な場合がある。そのためには、建物を所有する大家さんや不動産会社との交渉をしなければならない。しかし、学生団体や各NPO団体に対しての対応は冷たかった。大手企業でないと審査の受付もしてくれないというケースもあったという。そのため、どんなに面白い企画や活動をしていたとしても、拠点を作れないために継続出来ない団体は少なくないという。そういった現状を目の当たりにした松田さんは、団体と大家さんを仲介する不動産会社の重要性を感じた。「プロである不動産会社が、きちんとビジョンを持って団体の活動と大家さんを繋ぐことが出来れば、まちの魅力を作っていけるはず」と考えた。「今出来ることをやり切る」という松田さんだからこそ、不動産会社に出来る地域支援の形を見出していけたのである。

不動産会社ならではのまちづくり

 「ワクワク広報室」を立ち上げてから、新しい入居者に町の面白い情報を紹介するサイト「住もうよ!溝ノ口」や、地域住民と連携して町の魅力をPRする「○○×ノクチ」など、不動産会社ならではのまちづくりを行ってきた。
 松田さんが事業を行う際に心掛けていることは、シンプルで面白い企画を作ること。「面白い企画を作ることが出来れば、たくさんの人が参加してくれる。地域の方が楽しんでくれれば、まちはもっとそのまちらしくなる」と松田さんは語る。例えば、「○○×ノクチ」の企画の一つ「麦×ノクチ」では、地域住民が集まって地元のクラフトビールを味わった。ここでは、地域の方々がみんなでビールを「体験」することにより、その場で濃いコミュニケーションを生み出すことを目指した。こういった面白い企画を作り出すためには、地域の魅力を理解している不動産会社でなければいけない。松田さんは、溝ノ口に住む人々に楽しんでもらうために、誰よりも溝ノ口を理解し、愉しみたいという気持ちを持った不動産会社を目指している。

仕事も家事も愉しんで

 松田さんは、家庭においても「愉しむ」ということを大切にしている。現在4カ月の赤ちゃんと妻と3人で暮らしている松田さんは、育児等で家にいる時間が長くなりがちな妻にリフレッシュしてほしいという思いから、休日には家族のイベントをつくっている。全ての家事を交代する「主(夫)交代の日」や、ちょっとしたお出かけにも「アウトドアの日」等のコンセプトをもたせて、お互いがより楽しめる工夫をした。普段は仕事に夢中になってしまいがちだが、休みの際にはしっかりと家族との時間を取ることを心掛けている。お互いの気持ちを想い、支え合うことで「家族間の課題も、愉しみながら向き合っていきたい」という。

編集後記

 自分に出来ることを精いっぱいやり切るという松田さんの姿勢に感銘をうけました。現状に甘んじてしまったり、すぐに諦めてしまったりすることなく努力を続けていれば、必ず何かを得ることが出来るということを教えて頂きました。また、何事も楽しみながら取り組むことの大切さも学びました。どんな課題でも、渋々引き受けるというのでなく、楽しみながら向き合って価値を見つけていきたいと思います。

取材日:平成27年8月25日  
取材者: 宮崎美穂 森亜美 寺田裕也 

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