女性のキャリアアップモデルインタビュー #11

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沼倉 恵美 氏
(社会福祉法人慈正会特別養護老人ホーム虹の里 介護長)

women11_1沼倉さんは現在、特別養護老人ホームで介護長をしています。現場にも関わりながら、入居者のリスク管理や看護師との連絡調整、スタッフの勤怠など、施設棟全体の管理する立場にあります。30代での就任は不安でしたが部下との年齢が近いことを強みに引き受けたとのこと。ひとりで抱え込まず部下に仕事を割り振ることを覚えたといいます。職員が安心して働くことができるよう、相談に応じるなど日頃からコミュニケーションを密にし、スタッフとの率直に話し合うことを大切にしているとのこと。介護業界全体として、男女問わず介護職において結婚、出産、子育てを経ても仕事を続けていくことができる仕組みづくりが課題と考えています。

(H25年10月インタビュー)

現在、どのような仕事をしていますか。

法人全体では、介護老人福祉施設をはじめ、介護予防のための短期入所や通所の生活介護、居宅介護支援センター、地域包括支援センターなどの各種事業を展開していますが、私はその中の「特別養護老人ホーム虹の里」で介護長をしています。総監督のような立場です。具体的な仕事は、スタッフの勤務管理、各棟主任会議や管理職会議等への参加、看護師との連絡調整、入居者のリスク管理(ヒヤリハット等)などです。施設は、認知症棟(入居者21名)、自立棟(入居者30名)、一般棟(入居者70名)の3部門からなっており、現在計120名の方が入居しています。その方々をスタッフ45名(パート含む)でみていますが、一人ですべてを把握することはできないので、認知症棟と自立棟は別の主任と副主任に管理運営をお願いし、報告・連絡・相談を受けています。私は一般病棟の主任を兼務しながら全体の管理をしています。
さまざまな決定権を持つようになりましたが介護の現場には今でも関わっています。夜勤も月1~2回入っています。現場を知らずに職員の大変さに耳を傾けても十分ではないので、プレイングマネジャーのようなスタンスでいたいと考えています。

今の仕事に就いた経緯を教えて下さい。

私の両親は働いていたため祖母と過ごす時間が長く、祖父母のことが大好きでした。そのことは職業選択に影響を与えたように思います。何か仕事はないだろうかと調べていたところ、介護福祉士になって高齢者のお世話をする仕事があることを知りました。それが高齢者介護に携わろうと思ったきっかけです。以降、20歳で就職して以降、介護の現場が好きで働いてきました。

入社後のキャリアについて教えていただけますか。

1996年に入社し、今年で18年目になります。最初の11年間は職員として現場業務に従事していました。2007年に主任になりました。同年代の職員がいなかったことは就任理由のひとつだったように思います。また、ちょうどその頃3つあるフロアのうちの1つを任され、ひとまずそのフロアをうまくまとめることだけに集中することができていました。そうして2010年に介護長(管理職)になりました。それまで主任を任されていた2人は50~60代でしたが、3人目の私は30代での就任でした。介護長に就いて指示が受入れられるのか、自分がこの職に就いていいのか迷いもありました。職員と年齢が近いことを強みと考え引き受けさせていただき、現在4年目になります。昇級制度が変わり、かつては主任ポストが管理職に相当しました。今の仕事と主任時代の仕事の内容は変わらないので、その時代を含めると7年間、管理職に相当する業務を勤めていることになります。

ステッアップをはかるうえで転機等があれば教えて下さい。

主任に就いた頃でしょうか。ひとりで抱え込んで仕事をする方が早いと思っていたのですが、先輩たちに「スタッフに仕事を割り振りなさい」と指摘されたことで働き方を変えました。

参考としてきた人などはいらっしゃいましたか。

そうですね、採用後1,2年目は、4,5年上の先輩を参考にしてきました。言葉で教わるとうよりは、先輩たちがどのように動いたり利用者の方と関わっていたりするかなど、行動を見て学ぶことが多かったように思います。管理職になってからは、前任者からの引継ぎで強制されたこともないですし、自分自身が最善を尽くし、マイペースに仕事をしてきたように思います。

管理職になる過程で仕事に対する受け止めや心境はどのように変化しましたか。

第一に、仕事内容が変わりました。それまで高齢者をサポートするために現場を駆け回っていたのが、それ以外の業務―入居者や職員の管理などのデスクワーク、看護師との連携や組織連携のための会議など、実にさまざまな業務があることを業務を通じて体得しました。
また、管理職になるまでは、上司である主任や介護長に頼り、指示に従い日々の業務を滞りなくこなすことに注力していましたが、自分が管理職になってからは自分に責任がかかってくるので、その点はやはり大変だと感じました。また、この職務には決断力が必要です。迷うと職員はついてきません。その意味で45人の職員をまとめあげるのは難しいと感じます。時に退職を申し出られることがありますが、相談に応じるようにしています。管理職になってから特に心がけていることです。介護職の離職率は高いので。家族を養えず辞めてしまう人もいて、介護の現場は慢性的な人手不足が実情です。そのようなこともあって、辞めるか悩んでいる職員に対しては、思ったことを率直に伝えながら働きやすい状況をともに模索しています。「もう少し頑張ります」とおっしゃって下さる方もいます。年配の方にはなかなか言えない重みのあることも、年齢が近いことを率直に語ってくれることはあるかもしれません。職員が安心して仕事ができるよう日頃からコミュニケーションを密にすることを大切にしています。

結婚、出産、育児と仕事の両立をめぐる状況について教えていただけますか。

結婚、出産後も仕事を続ける職員はそう多くないように思います。夜勤があること、また、重労働であることなども関係しているように思います。職場では夜勤免除と時短勤務を推奨しています。また、産休取得した女性職員や乳幼児の子どもを持つ女性職員からは、託児所設置の要望もあります。私は独身なので、21時か22時頃まで残って仕事をしていることも多いです。今の主任や副主任も独身が多い状況です。家庭を持ち、結婚、出産、育児をしながらこの職務が務まるだろうかと考えると、どれも中途半端になりそうで、60歳まで働けるかどうか不安は残ります。

ワーク・ライフ・バランスについて仕事以外のプライベートはどのように過ごしていますか。

普段は終業後も仕事をしているような状況ですが、休みの日は極力仕事はせず、スノーボードやウェイクボードなど趣味に没頭しています。

業種特性から、女性が活躍しやすい環境でしょうか。

女性が活躍するという以前に、まずは若者が辞めてしまう、就労継続が難しい状況を改善する必要があるように思います。男女問わず若い世代の介護職が結婚、出産、子育てを経ても仕事を続けていくことができる介護職がほしいと思います。

今の職務において大切にしていることがあれば教えて下さい。

私としては、「お年寄りが好きであること」と、「理想的な介護」を実践するよりも「当たり前の介護」を日々実践することが実は一番大切ではないかと考えています。表面上の付き合いでなく、傾聴しつつも意見は公平に伝え、入居者とその家族にここに入ってきてよかったと思えるサポートを実践していきたいと思っています。

なぜこの仕事を続けて来られたのでしょうか。

職場の人間関係が良好であることと、やはり介護の現場が好き、それに尽きると思います。

今後手がけていきたい仕事はどのようなものですか。

看護師の免許を取得できたらと思っています。介護の現場にいると看護業務が必要な局面が生じてきます。介護職には看護業務はできません。看護師はいますが、私自身がそのスキルを持っていれば、できることがぐんと広がると思うのです。休職して看護学校に3年間通うリスクを考えると尻込みしてしまいますが、働きながら資格を取得できるのであればチャレンジしてみたいです。

次に続く女性たちへメッセージをお願いします。

介護職に就いてくる人が増えることを何より希望します。当たり前の介護、嘘偽りのない介護、本心をぶつけ合う介護を理想に、これから女性管理職を目指す人たちには気持ちを大切に、気合で乗り切ってほしいと思います。

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