女性のキャリアアップモデルインタビュー #03

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大滝 寛子 氏(川崎信用金庫企画部 調査役)


大滝さんは現在金融機関の経営企画部調査役として、組織の経営方針や政策の企画立案、関連する各種委員会の運営等の業務に従事しています。入庫当初から融資業務を中心に仕事をしてきました。その分野は男性が中心であり、女性管理職の少ない分野で初の審査部調査役となった時は、自身の不安も周囲の反響も大きかったといいます。男性と同等に扱われたり、時に女性だからと甘く見られたりすることを感じつつも、大滝さんは「これまで男性がやってきた内容をそのまま同じようにできるとも、しようとも思わない」といいます。部下を信じて、任せて、支え合い、一緒に仕事をすすめる大滝さんは「自分の持ち味を生かしながら組織人として能力を発揮していきたい」といいます。

(H25年11月インタビュー)

現在、どのような仕事をしていますか。

経営企画部には今年の8月に着任し、3か月程が経ちました。経営全体を見て今後の経営方針や政策を企画・立案する部署であり、本部の各部室と調整し、会社の将来的な方向性を見極めなければなりません。役員会(会社で決議するもの)や、会社のリスク管理に関わる委員会の事務局的な役回りでもあります。かつて在籍していた営業店よりも広い視野で考え、勉強する必要のある仕事です。部長以下わずか6名での構成ですが、少人数であるからこそ日々議論を交わし、皆で解決法を検討するなど、一人が問題を抱えこまない体制が作られています。その中で、各種委員会の事務局運営やディスクロージャー誌の作成、ホームページの運営・管理などを主に担当しています。

入社後のキャリアについて教えていただけますか。

銀行業務には、大きく分けて預金・為替・出納などの内部事務業務、融資業務、営業業務の大きく3つにわけられます。入庫後、私は融資業務を中心に仕事をしてきました。最初の勤務地は大師支店で、融資の後方事務を3年半、その後融資窓口を1年半経験しました。当時は女性の融資担当者が数えるほどしかいませんでしたが、当時の支店長に推薦していただいたことが、融資窓口経験のきっかけでした。その後異動した店舗でも1年半融資の窓口業務に従事しましたが、そこでは一般個人向けローンだけではなく、企業向け融資等にも取り組み、幅広く経験することができました。平成17年12月には初の土曜日営業店舗、女性中心の職員で構成される日吉出張所がオープンし、その開設メンバーに任命されました。主に個人向けローンの担当として3年半務めました。その後、初任地の大師支店への異動し、管理職に就きました。庶務の役席として2年半務めた後、本部審査部へ異動、女性初の融資審査の担当調査役となりました。融資・営業管理職としての経験はありませんでしたので、営業店からあがってくる書類から融資の可否を判断し、自分の考えを営業店に伝えていくという作業は非常に難しいことでした。しかし、「できません」といって逃げ出したくはありませんでした。女性だからできないと思われては、次につながる世代の入り口を閉ざしてしまうと考えたからです。気負うことなく、今の自分の知識で対応できないこと、わからないことは「わからない」と声に出すようにしました。こまめに相談、教えてもらう姿勢で取り組んだ結果、周囲の同僚や先輩が助けてくれ、何とか乗り切ることができました。審査部では1年8か月務めた後、現職に就きました。

スキルアップはどのように図ってこられたのでしょうか。

新人の時は自信もなく、事務をがむしゃらに覚えました。2年、3年が経ち、後輩を指導しつつ自分の業務の流れもでき、仕事には真面目に、前向きに、取り組んできました。性格だとは思いますが、「できないと悔しい。やってもいないのに頭から大変そうだからできない、引き受けない。」という姿勢は、自分の中では納得できず、「まず飛び込んでみよう」という精神でやっています。
当金庫の場合は、資格を取ることがポイントになる人事制度があります。私自身も目標をもって資格の勉強をし、何とか一級ファイナンシャルプランニング技術士の資格を取ることができました。それが人事制度のポイントになっていること、私自身比較的多くの資格を取っていることが、昇進が速い理由かもしれません。社内に資格取得への経済的支援があることは、モチベーションアップ、昇進のチャンスにもつながります。

なぜこの仕事を続けてこられたのでしょうか。仕事における転機等があれば教えてください。

もちろん仕事を続けていれば良い時ばかりでなく、気分が沈み、後ろ向きに物事を考えてしまうことも多くありました。そんな時、いつも私には支えてくれる諸先輩の存在がありました。大師支店で融資窓口だった頃、営業成績優秀な男性の先輩に「企業というものは、できる人が引っ張っていくもの。お前はやらないといけない人間だ。」と諭され、その時の言葉は、今でも自分の中に深く刻み込まれています。日吉出張所に異動した頃は、結婚したばかりで、土曜日営業の店舗での勤務となり、生活環境は大きく変わりました。業務内容としても、企業向け融資が面白くなり始めていた頃でしたので、預金業務・個人向けローン中心の出張所への異動で仕事へのモチベーションが下がり、転職も頭をよぎりました。当時の女性所長は、そんな悩んでいる私と正面から向き合い、「大滝さんならできる。貴方だから信頼して仕事を任せられるのよ。」と背中を押してくださり、自信につながりました。日吉出張所での勤務は、「女性として働く」ということを深く考えさせられ、学んだ時期でした。
私自身、仕事に手抜きをしない、石橋を叩いて渡るタイプですが、これまでにお客さんにガツンと怒られてしまうこともありました。「顔も見たくない」と厳しいことも言われましたが、次にお会いした際、「あなたで良かった」と言っていただきたくて、丁寧に誠実に対応できるように心掛けました。

今の職務において大切にしていることがあれば教えてください。

「やってみなさい」と会社から与えられた仕事は足踏みせずにまずチャレンジする。それはきっと将来の糧になる。」と捉えてやってみる姿勢を大切にしています。また、部下に対しても、まずは信じて何事もやらせてみることを心掛けました。自分が管理職になっても、砕けずひび割れ程度でやってこられたのは、職場の仲間に恵まれ、お客様の一言が気持ちをつないでくださったからこそだと、感じています。常にモチベーションが高いわけではないのですが、ポイントポイントでやりがいを感じることで今までやってくることができました。これからも、お客様から力をいただき、仕事人としての成長機会を感じながら、一歩ずつ前進していこうと思います。

管理職となり仕事に対する受け止めや心境はどのように変化しましたか。

当金庫は性別なく人材を育てること、増やすことに積極的な会社だと思います。女性の場合は、事務処理や管理面を手堅く行う能力が高いという考えから、役席に推薦される傾向にあると思います。事実、預金業務などにおける女性管理職は増えています。しかし、営業、融資の分野はこれまで男性が中心であったので、女性管理職が少ないのが実情です。私が女性初の審査部調査役で異動となった時は、周囲の反響はとても大きいものでした。「どうして私なんだろう。」という思いが拭えず、同様に周囲からも「どうして審査部へ行ったの。希望したの。」と良く聞かれました。もちろん希望したわけではありませんでしたし、本音は逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。しかし、「真摯に仕事に向かっている姿勢を評価されたんだよ。」と励ましてくださる方も多く、前向きな気持ちで取り組むことができました。男性社員と同等に比較される一方では、女性だからとやや甘く見られる部分があるとも感じていました。私としては、これまで男性がやってきた内容をそのまま同じように出来るとも、やってやろうとも思いません。女性として自分の持ち味を知り、会社の期待するところを把握しながら組織人として能力を発揮していきたいと考えています。初めて管理職に就いたときには、「部下を信じて、任せて、支え合って一緒にやっていこう」という仕事のスタンスを見つけることができました。今後もこの姿勢を大切に、皆が相談しやすい風通しの良い職場を作っていきたいです。

ワーク・ライフ・バランスについて、仕事以外のプライベートは
どのように過ごしていますか。

パートナーが一般企業の営業職で、日頃の帰宅時間が遅いことから、家事等は無理をしなくていいと言ってくれていることに感謝しています。審査部調査役時代は忙しく、夜9時、10時に帰宅することも多く、夫には迷惑をかけました。最近では、5時台に退社できる日もでき、時間を有効に使っています。
結婚後、子どもの欲しいタイミングと仕事で管理職を拝命したタイミングが同じでしたが、仕事には引続き誠実に向き合いながら、子どもは自然に任せて欲しいなと思っています。当金庫は育児休業の取得率も高いので、制度をうまく活用しながら仕事と家庭のバランスを考えていきたいです。

社内の風土、業種特性から、女性が活躍しやすい環境でしょうか。

今の理事長が女性を高く評価し、期待しているという背景もありますので、活躍しやすいのではないかと思います。
預金の窓口は女性が多いのですが、私の場合は預金を経験することなく、最初から融資係に配属されました。新人の頃から、比較的厳しく育てていただきましたが、その支店長や上席者の裁量や環境づくりこそが、今の自分を作ってくれたのだと、強く感じています。当然のことながら、企業は「働き手としての女性」を育てることが一番の目的なのではなく、「会社に貢献できる人」を育てることが重要なのだと思います。女性の社会的活躍に注目が当たっている今、当金庫のロールモデルはまだ片手で数えられるほどです。女性の中には昇進したい人とそうでない人といます。どちらかというと手を挙げて意見する人は少ないように感じます。まだ女性自身、管理職になることに抵抗がある人も多く、育成にも時間がかかります。若い世代から意識づけが必要なのだと思います。

今の仕事に就いた経緯を教えてください。

川崎が地元で、運動が好き、趣味がサッカーなので、スポーツ関連の仕事がしたいと学生時代は思っていました。ただ、生真面目な性格なので、学習が続けられる、学び続けていける職場がいいなというイメージをもっていました。さらに、人が好きで、信用金庫は地域の皆さまに密着した仕事ができるということが、この仕事を選ぶきっかけとなりました。「かわしん」の看板を眺めながら育ち、とても身近な存在であったことも理由のひとつです。

今後、ご自身が手がけていきたい仕事はどのようなものですか。

異動して間もないので、まずは早く日々の業務に慣れ、業務の質を上げていくことか今の課題です。経営企画部とは、金庫全体を指揮するポジションであり、これまでと見える景色が全く違います。今の自分に一番必要なものは、「プレゼンテーション能力」だと感じています。自分の考えを文章にし、言葉に出し、相手に意思を伝え、物事を一つ一つ作り上げていく作業です。非常にレベルの高い業務ではありますが、周囲に信頼して仕事を任せてもらえるよう、考え行動していこうと思います。

次に続く女性たちへメッセージをお願いします。

頭でっかちにならずに社会人になって欲しいです。あまり難しいことを考えずに。数字の把握より人間力、お客様に元気よく挨拶し、笑顔で接し、気持ちよく対応する、それが信用金庫の業務においては大事です。勉強し資格に挑戦することも大切ですが、それ以上に、学生の今だからこそ出来るアルバイトや部活動などの経験を通して、多くのことを感じ、悩み、人間力を高めてください。身近なシニアの方に気さくに挨拶ができる、声をかけられる人にこそ入社して欲しいです。

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