川崎市男女共同参画センター(すくらむ21)では、2017(平成29)年度に「祖父のための孫育て応援講座」を実施しました。主催講座の受講者のその後をフォローアップすることで、今後の事業展開への参考とするため、修了された方(4名)に対し、2018年10月にフォローアップを実施しました。連絡がついたのは3名の方でした。 フォローアップでは、ソフリエ講座の受講動機から、受講時に感じたこと、その後のお孫さんとの関係などについて近況を伺っています。 ぜひ、市民のみなさまにも知っていただければと思います。
祖父の孫育て
~私の場合、孫のためより、妻のため~
金子(中原区在住、60歳代)
1.ソフリエ講座の受講動機
私には、生後10ヶ月になる初孫がおります。今年5月に二人目の孫が生まれることがわかっていましたので、母親を頼ってくる娘と孫二人の世話が一層増えてしまうことから少しでも軽減できればと考え、孫のためでなく、妻のために何か手助けができればと思っていました。そのころ市政だよりで「祖父のための孫育て応援講座」を知り、ホームページを調べてみると、申込期限を過ぎていましたが、まだ受講できるとのことで参加する事を決めました。
2.受講してみて
ハンドブックでは、孫が熱を出したらどう対応するのか、月齢によってどういう振舞いをするのか、成長の様子の基本的なことを学びました。実習では、人形をつかっての沐浴手順、肌着の着せ替え、紙おむつの取り換え等学びました。また、近隣の保育園の施設見学に行きましたが、子供たちと少しでも遊べる機会があっても良かったと思います。
自分の子供のオムツを替えた記憶がありませんが、ソフリエ修了証を皆が見える所に貼っていたら、娘から「オムツも替えてね」と言われました。今では「ソフリエ ハンドブック」を再確認し、二人の孫を見ていますが、妻への手助けができているのかと、思っています。
3.孫との関わり
娘の家族が近居のため、来るたび上の孫と近所の公園に散歩に行っていましたら、最近「ぽ」と言って散歩に行こうよと、誘ってきます。
また、私が孫二人をお風呂に入れることは当然のような役目となってしまいました。
4.娘夫婦の方針は尊重して
娘夫婦はいろいろと子育てを考えているようです。娘の夫は平日帰宅が遅くなるため、上の子の保育園への送り、休日の子供とのスキンシップなど、自分達で役割分担など決めているようです。我々は、余計な口出しはせず今は頼まれたことをしてやれればと思っています。
5.最後に
妻や娘は「やって当然」、「孫と遊べて楽しい」と思われているかもしれませんが、上の孫は、チョロチョロ動く年齢なので目が離せません。無事に帰っていくと、正直ほっとします。これからも妻の負担を軽減するために孫の面倒を見ることでしょう。(これもまた楽しいかな)
今回は、私にとってドンピシャの内容でした。今後、もし、3~5歳くらいの孫育ての講座があれば、受講してみたいと思います。
(2018年10月)
少しでも娘の支えになれば
KM(麻生区在住、70歳代)
1.ソフリエ講座の受講動機
昨年9月末で定年退職後の仕事も辞めました。時間ができたので、市政だよりで見つけたソフリエ講座に行ってみようかと思い、妻に相談したら、ぜひにと薦められました。ちょうど、下の娘が第1子(当時3歳)の育児中でしたが、東京から近所に越してくることになり、行き来が頻繁になった頃でした。その孫は、風呂嫌いで手を焼いていたので、娘の育児を手伝ってやろうと思った次第です。
2.受講してみて
受講内容は、沐浴など生後まもない子ども向けの実習で、直接、3歳の孫には該当しませんでした。受講後、年明けに娘が第2子を出産する予定だとわかり、今年9月に産まれたところです。生後1月弱で、今は、平日は近所の娘宅に夫婦で毎日出かけています。妻は孫の世話と料理などをし、私は上の孫の保育園の送り迎え、皿洗いや風呂掃除のほか雑用をしています。
3.娘が女性として生きることについて
わが子の時は、転勤を伴う仕事だったこともあり、妻は結婚退職しました。子どもの手が離れてからはパートで働いていましたが、私は子育てがこんなに大変なものとはわかっていませんでした。
今は、時代状況もあって、女性が働き続けることは当然になってきていると感じます。共働きでないと食っていけないこともありましょうが、女性にとって、子育てだけが生きがいではなく、働くことの楽しさややりがいも当然あるのだと思います。
当時は知りませんでしたが、後年になって、妻も本当は仕事を続けたかったと知りました。私の希望で専業主婦になったことも、長い間知らなかったのです。娘2人の育児は、妻がやって当然と思っていましたし、家事の手伝いすらやっていませんでした。
次女の第2子出産に当たり、娘から頼ってきたのではなく、私たちから申し出る形で、娘宅に夫婦で通っています。新生児の世話は娘がやり、妻がサポートしています。
4.祖父母の役割とは
理想を言えば、仕事をしている夫が19時か20時には帰宅して、子どもをお風呂に入れたり、食事の片づけをするなどすべきでしょう。しかし、現状の22時や23時帰宅ではとてもそれは望めないと思っています。せめて土日は娘夫婦で面倒を見るように、サポートする日は平日と決めています。助けになればと思い、つい何か娘に助言したくなることもありますが、妻からは「子育てについては娘夫婦の方針で。口出ししてはダメ!」と言われています。
現在の子育てをめぐる状況は、母親を孤独にしてしまうところがあると思います。私たちは、母親を支えることが役割だと思っています。祖父母が近所にいない若い夫婦も多くいると思います。社会が支えなければならない人もいますが、まだ元気な私たちは今後も娘を支えていきたいと思います。
5.世の中の男性たちに言いたいこと
私も現役の時、自分の子どもの時は、仕事だけをしていましたので、偉そうなことは言えませんが、妻には「仕事だけしていればいいなら、楽なものだ」と言われています。考えてみると、家事は365日で休みはありません。仕事は平日のみ、それも職場にいる時だけのことです。
それなのに、家事や育児は多くの男性にとってはそれほど大変なこととして考えられていません。また、妻を「手伝うもの」と捉えがちです。これも、妻からは「『手伝う』のではなく、自立してほしい!」と指摘され、だんだん意識が変わってきました。ソフリエ講座の受講も、意識を変えるのに役立ちました。
現在、私は食事の片づけ担当で、皿洗いは毎食自宅でもしています。男性の育児休業が話題になることはありますが、現実的には、まだまだ実際に取得するのはハードルが高いと思います。今の子育て世代の上司は多くが男性で、自分たちの時は育休など男性が取得するものではなかったこともあり、理解がない人も多いと思うからです。今の子育て世代の男性たちが育休を取ったり、子育てを積極的に行うパイオニアとして増加してくれば彼らが上司になる頃にはもっと理解が広がると思います。
ボトムアップで世の中を変えるには時間がかかります。今、社会や企業のトップにいる男性たちが意思決定をし、トップダウンで子育て社会を進めてくれれば、もっと早く子育てしやすい社会になるのではないでしょうか。
(2018年10月)
ソフリエ講座を受講して
辻 信昭(多摩区在住、70歳代)
1.受講のきっかけ
そもそもソフリエ講座を受講することを希望しましたのは、テレビで夕方のニュース番組を見たことがきっかけです。そこでは、最近祖父母世代が、自分たちの子どもの育児をしていた時に比べて、現在は子育てに関する情報が多いこと、育児方法が大きく変化していること、地方自治体ではそのために小冊子を配布していることを知りました。
私も家内も、初孫娘が誕生したばかりで息子三人を育てたはるか昔の子育てとは、だいぶギャップがあるだろうなと感じておりました。そこで、番組内で紹介されていた横浜市『地域と家族の孫まご応援ブック』、さいたま市『笑顔をつなぐ孫育て』を入手しようと、両市役所に行きましたが、既に品切れで増刷予定はしばらく無いとのことでした。
そんな折に、川崎市の「市政だより」でソフリエ講座受講生募集の案内を拝見して、申し込んだ次第です。
2.受講してみて
実際に受講してみると、かわいい人形を使ったオムツ交換、沐浴の方法などの実践と具体例を交えた講義など、なるほどと感心させられることも多く、大変役に立ちました。また、経験のなかった保育園の見学、乳幼児と接する体験学習は大変勉強になりました。配布されたテキストの『ソフリエハンドブック』は現在も何度読み返しても参考になることが書かれてあり、助かっております。
3.孫の成長の速さに嬉しい驚き
それにしても、孫の成長の速さには驚かされております。三男夫婦は現在共稼ぎで、孫は、平日は保育園に行っております。住まいも川崎市内ではないので、月に1回程度しか会えませんが、受講時にはオムツをしていたのが取れ、口も達者になり、この11月には七五三を迎えることになりました。
4.これからも活用します
今後、二人目、三人目の孫が誕生した時にも、ソフリエ講座で学ばせていただいたことは、きっと役に立つに違いありません。その時を楽しみにしています。
最後に、ソフリエ講座に携わっていただきました講師の先生方、スタッフの皆様の今後益々のご活躍を祈念いたすと共に、御礼を申し上げる次第です。大変ありがとうございました。
(2018年10月)