『傷つきのこころ学』
発行日:2024年12月
著者:宮地尚子
出版社:NHK出版
発行日:2024年12月
著者:宮地尚子
出版社:NHK出版
デジタル化の進展やSNSなどコミュニケーションツールの更なる広がりによって、リアルとオンラインの両方の世界を行き来して生活するようになった現代社会は、「傷つきやすい時代」と著者は言う。私たちが、ある程度の「傷つき」を受け入れて前に進むためにどう生きるのが“ベター”なをのか、トラウマ研究の第一人者として、また臨床医として、数多くの「傷つき」と向き合ってきた著者が、現代に特有の「傷つき」が生まれる背景、「傷つき」の定義、対処法を多角的にわかりやすく解説してくれる一冊。生命を脅かすようなトラウマ体験が私たちの心に影響を与え、深い傷を残すことは誰しも知るところだろう。本書は、さらに、日々の暮らしのなかで起こる「ちょっとした人間関係のすれちがい」や「誤解」などによる「傷つき」にも目を向けて寄り添う。そして、「傷つきの練習」という言葉を用いて人間関係に慎重になりがちな私たちへ「必要以上に怖がることなく傷つく練習をしてほしい」「孤立しないでほしい」と伝える。
100ページほどの小冊子は手に取りやすく、親しみやすいイラストは、読み手のこころを癒し穏やかな気持ちにさせてくれる。対人関係に悩む人や、傷つきを抱えた人とどう接したらいいか迷っている人にもおすすめしたい。