『グランマ・ゲイトウッドのロングトレイル』
発行日:2021年12月
著者:ベン・モンゴメリ
訳:浜本マヤ
出版:山と溪谷社
発行日:2021年12月
著者:ベン・モンゴメリ
訳:浜本マヤ
出版:山と溪谷社
アメリカ東部のジョージア州からメイン州まで2000マイル続くトレッキング専用路、それがアパラチアン・トレイル。今から70年前にこのロングトレイルを女性で初めて踏破したのがエマ・ゲイトウッドだ。長年DVに苦しめられ、働きづくめだったエマが夫との関係に終止符を打ったとき、彼女は50代半ばになっていた。11人の子ども、23人の孫と離れてトレイルをたったひとりで歩き通したのは67歳のときだ。いくつもの山を越え、村で初めて知り合った人に一夜の宿と食事をふるまわれ、ときには嵐のなかを歩き続け、あやうくガラガラヘビやクマに出くわしそうになりながらのトレッキングがどのようなものだったのかは、「トレイルを歩くのは楽しいだろうなと思っていましたけれど、そんなもんじゃないということはすぐにわかりましたよ」というエマの言葉通り、本書を読めばその様子は想像に難くない。「彼女が何に向かっていたのか、それとも何かから遠ざかろうとしていたのか、私にはわからないのだ」と著者は書いている。もしかしたら、その両方だったのかもしれない。


















