インタビュー協力 | 上園智美さん、松原龍さん |
---|---|
発足 | 1985年10月 |
URL | http://www.mikuniya.jp/ |
事業実績 |
|
どのような事業を行っていますか?
日本ミクニヤ株式会社は、建設コンサルタントとして環境と防災の2つの分野でリスクコンサルティングの事業を展開しています。その中で私たち(上園さん、松原さん)は、ソフト防災対策を担当していて、自治体が定める地域防災計画の改定支援、ハザードマップ製作、災害時の被災状況調査、防災教育などを行っています。防災教育では、小中学校での防災授業や自治体や自主防災組織への防災講話などもさせていただいています。
今年度の協働事業の実施内容と特色について教えてください。
今年度の協働事業では、東日本大震災や熊本地震・大阪北部地震で活動された女性たちを講師としてお招きし、災害時に発生した女性特有の問題や解決策などについて学びます。事前に私たちができることや知っておくべき知識について、参加者と一緒に考え学んでいきたいと思っています。
この講座への想いは、2つあります。1つ目は、年齢・性別にかかわらず多くの方に防災について興味・関心を抱き、地域での防災の取り組みに関わってもらいたいということです。地域の自主防災組織に関わっている方の多くは、高齢男性というのが現状です。その結果、避難所を運営するのも男性主体となることが多く、女性の意見が伝わりにくく反映されにくいという問題が生じています。その他、例えば避難所に更衣室を設置する際、女性用はすぐに設置されるようになりましたが、男性用はなかなか設置されないことが多く、男性は人前で着替えをすることになります。それを女性が不快に感じることがしばしばありますし、男性でも人前での着替えに抵抗がある方には苦痛になります。性別、年齢にかかわらず、様々な方が防災について関わり考えることで、こうした状況を少しずつ改善していければと思います。
2つ目は、いつ、どこで起こるかわからない災害に対して、それぞれで必要な知識や物の備えを行っていただきたいということです。防災の知識があることで、災害が起きた時に冷静に対処することができるようになります。例えば地震が起きた時、自分の身を守った後は初期消火をする、火事が起こらないようにガス栓を閉める、家族や近所の人たちの安否を確認する等、理解していれば焦らずに行動することができます。何を備えたらいいかわからないという方は、被災地で困った事を聞くことで、何を備えたらいいかを知ることができます。こうした被災地の経験を未来につなぐことができるようにしたいと考えています。
日本ミクニヤ株式会社創立のきっかけ
日本ミクニヤは、「海とその調和」をテーマにスタートしました。今では環境と防災のコンサルとして活動していますが、元々は海洋調査や測量調査を行っていた初代社長や初期メンバーが1985年に立ち上げた会社です。最新の技術を駆使して各地のフィールドを駆けめぐり、自然や環境と人間の間に立ち「魚の気持ち、人の気持ち、どちらの気持ちも解かる」インターフェースコンセプトに基づいて、インタープリター(半魚人)として活躍できるよう頑張っています。
今後の展望を教えてください
災害時の女性特有の問題を、一部の女性のみが解決しようとするのではなく、性別や世代、立場に関係なく、様々な人たちに考えてもらえるよう防災活動を続けていきたいと思います。多様なセクシュアリティや障がいについても配慮する必要がありますが、災害の現場では実際そこまで手が行き届いていないことがたくさんあります。例えば、先日、障がい者の方から「多機能トイレは男女別になっていない」というご指摘をお聞きし、大変考えさせられました。分かれていないことで残念な思いをされる方もいれば、分かれていないことで利用しやすくなる方もいらっしゃるといったように、トイレ1つとっても様々な課題があります。まだまだ考えなくてはいけないことはたくさんありますが、1つ1つ解決できるように、皆さんと一緒に活動していきたいと思っています。
インタビュー実施日 | 2018年9月8日 |
---|---|
インタビュー、記事作成 | 北野、田村、村松(平成30年度インターンシップ生) |