『キルトでつづるものがたり』
発行日:2016年10月
文)バーバラ・ハーカート 絵)ヴァネッサ・ブラントリー=ニュートン
訳)杉田七重
出版)さ・え・ら書房
発行日:2016年10月
文)バーバラ・ハーカート 絵)ヴァネッサ・ブラントリー=ニュートン
訳)杉田七重
出版)さ・え・ら書房
手もとにあるキルトを見るたびに、色合い、手触りに癒され素敵な作品だなと思い、この絵本のことを思い出す。
今は性別にかかわらずキルトを楽しむことが選べる時代。けれども祖母たちの時代は、針や糸は女たちにとって好むと好まざるとにかかわらず使いこなさなければならない道具だった。それよりずっと前、この絵本は、黒人奴隷として読み書きを習うことが許されなかった時代に、過酷な労働に耐え、貧困のなかでも強く生き抜いてきた女性たちの物語。その時代、キルトは何かを伝える手段でもあり、創作している時間、精神を自由にしてくれるものでもあった。「想像力というつばさがあれば、心は自由に飛んでいける!」これは、想像力を糧に厳しい日々を生き抜いたハリエット・パワーズの一生を紹介するこの絵本に出てくるメッセージ。1針ひとはり縫い合わせて作るキルトのように、探究心と高い志を持って挑戦していくハリエットの力強さや切なさを綴った、大人にもおススメの1冊。


















