『一心同体だった』
発行日:2025年4月
著者)山内マリコ
出版)集英社文庫
発行日:2025年4月
著者)山内マリコ
出版)集英社文庫
1980年生まれの女性が、10歳から40歳までの平成30年史を背景に、それぞれの年代を生きる女同士の友情をバトンのように紡いでいく。8人の女性が1章ごとに主人公となる、シスターフッドをテーマとした全8章の短編集。
自分と世代が重なることもあるのか、現在よりは色濃く存在していた、女であることで感じる生きづらさへの描写が妙に生々しく、女社会の内側を言語化する著者の巧みな表現に共鳴する。特に、彼女たちが声に出さずともあらゆる節目で社会や自分自身と闘ってきた20代、30代を描いた章では、自分の就職氷河期でのリアルな経験やライフステージの変化に伴い初めて直面した困難などの記憶とリンクし、懐かしさと苦しさが同時に蘇ってきた。
自身を取り巻く環境が変化することで、友人との距離感も多少変化していく。当時は密だったけれど時を経て疎遠になることもある。それでもあの時間は尊いものだったことに変わりはない。そして、今の自分が築いている友との関係もかけがえのないものであると信じている。


















