『青のフラッグ』
発行:2017年4月
(C)KAITO/集英社
発行:2017年4月
(C)KAITO/集英社
高校3年生という人生の選択を迫られる多感な時期を舞台に、未来への不安や、人間関係を描いた青春漫画で、幼馴染の太一と桃真、そして新たにクラスメイトになった二葉を中心に物語は始まる。
人気者でスポーツ万能、みんなのヒーロ―的存在の桃真。一方、目立たず自分に自信がない太一と二葉。太一がコンプレックスから自分を守るために桃真から離れようとしたのに対し、二葉は自分を変えるために憧れの桃真に近づいていく。しかし、そんな桃真もまた、自身にさまざまな葛藤を抱えていた――。
本作では、友情や恋愛、自身のセクシュアリティに苦悩する描写も多い。主人公以外の登場人物それぞれのキャラクターも個性的で、セクシュアリティについて交わされる友人同士の激論も読みごたえのあるシーンのひとつ。
他人と自分を比較することから生まれる感情により、そこから他人との距離感が変化する。少数派とされる何かに属することで、社会的に理解されずに生きづらさを感じることもあるだろう。これからどんなふうに生きたいかと問われて「自由に生きたい」と答える桃真のセリフに本作の全てを集約した等身大の想いが詰まっている気がしてならない。心理描写が秀逸で良質な作品。全8巻。